誰もが誰かを想ってる 四 終 ページ36
Aは話を終えて銀時のところに行く。
お妙が九兵衛のそばに来て彼に膝枕をした。
九兵衛は銀時やAから言われたことを思い返して口を開く。
「……あの男の言う通りだ。僕は皆知っていた」
「勝手なマネをして君に重い枷をつけ、君の思いを知りつつも見て見ぬふりをした。それでも君は、僕の左目になるって僕を護ろうとしていたね」
過去に九兵衛がお妙を助けて左目を失ったのは、九兵衛の行動が要因である。
九兵衛は輿矩や敏木斎が彼を護ろうと男として育てたことも知っていた。
「僕がこうなったのは誰のせいでもない。僕自身の弱さのせいなのに……それでも皆、最後まで護ろうとしてくれた」
「結局僕は護られてばかりで前と何も変わらない。僕は――弱い」
九兵衛はグッと拳を握った。
「僕もホントは……妙ちゃんやAみたいに、強くて優しい女の子になりたかった」
眉を下げ唇を押さえ、九兵衛は涙をこぼした。
そんな彼女に、お妙は口を開いた。
「……九ちゃん。九ちゃんは九ちゃんよ。男も女も関係ない、私の大切な親友。だから……泣かないで」
ポタポタと九兵衛の頰に雫が落ちる。
「それでほォ、お侍はん……」
お妙も涙をこぼしていて、何とか耐えようと言葉が震えていた。
「妙ちゃん……」
彼女の姿につられて九兵衛も唇を噛んで震える。
「ごめん、なさい……でも、今日くらいは、泣いたっていいよね」
「女の子だもの」
二人は抱きしめ合い、二人で一緒に泣き出した。
――
「妙ちゃん……」
お妙の温もりを感じながら、九兵衛は鼻をすすって赤い泣き顔で少しづつ話し出す。
「妙ちゃんはAのこと、どう思ってる……?」
お妙はその質問に少し目を伏せた。
「……好きよ。私はあの人が、友達としても……一人の女性としても」
同性であることを何も恐れず、
「そっか……」
九兵衛は返答は予期していたものの、しっかりと答えが返ってきて少し驚いていた。
「妙ちゃん。僕は、一つ自分を騙していた」
「僕には妙ちゃんがいるから、彼女はダメだって押さえ込んでいた……でも」
『私、ずっと九兵衛と一緒にショッピングしたかったんだー』
Aの笑った顔を思い返して、九兵衛は顔を赤らめた。
「僕はあの人を、本気で――」
「好きになってしまったんだ」
恋する女の子が恥ずかしさを隠すように、九兵衛は腕で赤い顔を隠した。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時