ver.green ページ12
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ver.green
「Aさん!お疲れ様でーす!」
「お疲れ、カオリちゃん」
終業時刻を過ぎて少しした頃、同じチームの後輩、カオリちゃんがニコニコしながら私のデスクへやってきた。
私の仕事場は、スマホゲームの開発会社。
私の所属しているチームは女子向け恋愛ゲーム(いわゆる乙女ゲー)を担当している。
ダウンロード数もそれなりに伸びてて、明日で終了のハロウィンイベントが結構好評で、チームの皆んなも一層やる気を出してきた所だった。
そんなチームメンバーの後輩が抱えているのは、…フワフワの布?みたいなのとか、キラキラのカチューシャみたいなのとか。
「…なにそれ」
「Aさん!明日はハロウィン当日ですよ!」
「いやまあ知ってるけど」
「ハロウィンと来たらコスプレじゃないですか!」
「……え」
「そこで、じゃじゃーん!」と効果音付きでカオリちゃんが見せてくれたのが、ウサギになる服?とか、異常にスカート丈の短い魔女の服…?とか、悪魔のしっぽと羽?みたいなものとか。
しばらく思考が停止する。
「え、え?カオリちゃんってそんなパリピだったの!?そんな格好して渋谷とかへ繰り出すような!?」
ようやく復活した私の言葉に、カオリちゃんは大笑いする。
「違いますよ!これ着て一緒に写真撮ってください!」
「は!?やっぱりパリピ…!」
「T◯itterに上げるんですよ!」
盛大な勘違いを正すように大きな声でカオリちゃんに言われ、「ああ…」と一旦落ち着いた。
ゲームのT◯itter公式アカウントでは、イベントとかのお知らせをもちろんしているのだけど、たまに、私たち開発チームの様子を少しだけお見せする事があって。
いわゆる『中の人』の様子が知れて嬉しい、みたいな声もちらほらと頂くので、本当にたまに写真(もちろん顔は隠している)を上げることもあった。
「このコスプレ衣装達は一体どこから…?」
「広報部から借りてきました!」
「…私たちのコスプレなんて、ホントに誰得なのよ…」
ガックリと肩を落とす私にお構いなしに、衣装を側の空いているデスクへ並べるカオリちゃん。
「まあまあ、顔は隠しますし、少なくとも一人は喜びますよ!」
ニヤニヤと言う彼女に嫌な予感がして、
「一人って?」と恐る恐る聞くと、案の定の答えだった。
「当然!うらたさんじゃないですか!」
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しろ鮎(プロフ) - 白雨さん» わー!白雨さーん!コメント下さってたんですね、返事がめちゃくちゃ遅くて申し訳ないです…ありがとうございます!ハロウィンにかこつけてイチャイチャしてるだけな感じですが(笑)、書いてて楽しかったです。次も今準備中なので(12月なのでアレです)良ければ〜! (2020年12月3日 22時) (レス) id: dffb4b3955 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 新作出してらしたんですね……!今回の短編集も四人の特色がよく出ていて愛らしさを感じる雰囲気でした!ハロウィンのお話を書かれるとは予想していなかったので新鮮な感じです(笑) やっぱりしろ鮎さんの書くお話大好きだなーと思いながら読ませて頂きました(*´艸`) (2020年11月24日 22時) (レス) id: f9e7441818 (このIDを非表示/違反報告)
しろ鮎(プロフ) - ちぇろさん» ちぇろさんご無沙汰してました、今作もお付き合いありがとうございました!一つのテーマを設けて作るの楽しかったので…またやろうかな?と思い始めてしまいました笑 またよろしくお願いしますー! (2020年10月30日 8時) (レス) id: dffb4b3955 (このIDを非表示/違反報告)
しろ鮎(プロフ) - リセットさん» 初コメありがとうございます、前作も読んで下さったんですね…嬉しいです!ときめきをお届けするのが私の作者としての目標なので、リセットさんにはお届けできたようで良かったです〜! (2020年10月30日 8時) (レス) id: dffb4b3955 (このIDを非表示/違反報告)
しろ鮎(プロフ) - せせ@れいとうるぅれっとさん» コメントありがとうございます、最後までお付き合い頂きありがとうございました〜!自己満足の小説なんですが、お楽しみ頂けて良かったです!またよろしくお願いします〜! (2020年10月30日 8時) (レス) id: dffb4b3955 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろ鮎 | 作成日時:2020年10月11日 6時