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お酒もいい具合に回ってきたどころか少し回りすぎてきたころ、ずっと不思議に思ってたことを志麻くんに聞いてみた。
「志麻くんはさ、どうしてうちの会社に入ってきたの？」
数年働いて、いい会社だとはもちろん思ってはいるけど、でも志麻くんならうちの会社じゃなくても活躍できるし、なんなら俳優さんとかモデルとか姿を生かした仕事もできると思う。
私の質問にんー、と少し悩みながら手に持ってるハイボールを一口飲んだ。
「会社説明会聞いて、ええなぁって思ったから、ですかね。」
当時のことを思い出してるのか少し遠くを見ながら話す志麻くん。
「そうなんだ…。志麻くんカッコいいから初めて会ったときはモデルさんか誰かが見学に来たのかなって思ったんだよね。」
「Aさんってめっちゃ俺の顔好きですよね。」
「んー、顔も好きだけど、もちろん志麻くんのことも好きだよ？かわいい後輩です。」
顔ばっかり褒めてたらまるで志麻くんのことを顔ばっかりだと思ってる人になりそうで。仕事もできるし、私のフォローもほんとに去年まで学生？って疑うくらいには完璧だし、気遣い上手だし、いつも助けてもらってる。
それに何より、私にとっても初の後輩なのでかわいくって仕方ない。嬉しそうな顔を見た時なんてつい頭を撫でたくなるくらいにかわいいし。
「…かわいいって、Aさんの方が俺より可愛いですよ。」
「ありがと。」
むっとした不満そうな顔。
「…お世辞やと思っとるんでしょうけど、本心なんで。あと、かわいいよりかっこいいの方が嬉しいです。」
正面に座る志麻くんの目とばっちり合って、その目があまりにも真剣で。そのきれいな目に吸い込まれそうになる。
「かっこいいとも思うけど、初めての後輩だからどうしてもかわいいって思っちゃう。」
お酒のせいで、判断が鈍った頭で返した言葉に志麻くんのきれいな顔がにこりと笑う。とん、と志麻くんが持っていたお酒のグラスを机の上に置いた音がなぜだかよく聞こえた。
Aさん、と名前を呼ばれて顔を上げる。あれ、志麻くん距離近くない？なんて思ったときにはもう遅い。
「かわいい、なんて油断しとったらウサギの皮被ったオオカミに食べられますよ、俺みたいな。」
え、という言葉を発する前に顎を掬われて志麻くんに食べられた。
後輩やと思って油断したらダメですよ？
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憧葛 - こんばんは、憧葛です！作品を読ませていただきました。いやもう本当にどれも神作ばかりで……素敵なお話をありがとうございました！これからも頑張ってください！ (2021年12月7日 18時) (
レス) @page38 id: e0ae3127c5 (このIDを非表示/違反報告)
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