むすんでほどけて【コラボ企画】 (ページ26)

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　志麻くんと営業に行こうと準備をしていれば、先輩から呼ばれて志麻くんに準備を任せて向かう。何かやらかしたかなぁと考えても大したことは思いつかない、なんて思ってたけど先輩の机に乗ってるのはこの前提出した書類らしき紙。

　「この前の書類なんだけどさ、」

　「はい、」

　「使ってるテンプレが1つ古いやつだったんだよね。」

　「えっ、！」

　うそ。先輩の言葉に頭の中でテンプレがぐるぐると回る。新しいテンプレ、配布されたっけ…？確認不足だやらかした。後でもう１回メールからテンプレの確認しないと。

　「直しといたから、次から気をつけてね。」

　「すみません、ありがとうございます…。」

　「いーよいーよ。優秀な後輩の少しのミスぐらいどうにかしてやるよ。」

　「きゃー先輩かっこいいー。」

　今の先輩、私が入社した時の私の直の先輩。他の先輩に比べて話しやすい。これ、新しいテンプレな、と渡されたのは机の上の紙。一応メールも送っといた、だなんてとてもやさしい先輩。

　「えらい棒読みだな、おい。」

　「気の所為です！営業行ってきます！ありがとうございました！」

　ん？と笑う先輩の目が笑ってなかったので急いで礼してから志麻くんの元へ戻る。怒ってるのがポーズなだけ、なんてことは私がよく知ってるんだけど。

　「ごめんね、準備ありがとう。」

　「いえ、…」

　なんだか少し歯切れの悪い志麻くん。準備してる志麻くんの顔を下から覗き込めばびっくりしたのか、後ろに２歩下がられた。

　「…何か分からないことあった？」

　「え、いや、先輩と仲ええなぁ、と思って…あ、いや、気にせんといてください。」

　うわぁ、と右手で口元を押さえてる志麻くん。言うつもりじゃないかったんだろうな、ってわかる反応。

　「志麻くん知らなかったっけ？そらる先輩、私の直の先輩なの。」

　「あ、そうなん、ですね。」

　あからさまにほっとした表情を見せるものだから、そんな顔されたら変な勘違いしそうになっちゃう。他の人にはしちゃだめだよ？なんて言ったら理解してない顔で分かりました、って言われちゃった。今の、無自覚なのかなぁ…。末恐ろしいとはこのことだ。