むすんでほどけて【コラボ企画】 (ページ25)

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油断大敵＊蒼ページ25

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　先輩、と私の頭上から聞こえてくる声に振り向けばモデルだって裸足で逃げ出すんじゃなかろうかと思う整った顔が目に入る。…顔がいいなぁ。なんて毎日顔を見てるのに思っちゃう。

　ぱっちりとした二重に大きな目とそれを縁取るキレイな睫毛、雪のように白くてきめ細やかな肌、唇の形はすごくキレイで化粧映えばっちり。美人ってこういう顔を言うんだな、って実感するそんな顔。

　今年から、私の後輩として入社してきた志麻くん。初めて会った時の印象は入る会社間違えてる、だった。周りの同性なんて目をハートにして志麻くんのこと見てたし。後輩に決まってからは紹介しろ、という周りの圧が凄くて凄くて。

　「この書類、確認してもらってええですか？」

　「もう終わったの？はやいね…確認するね。」

　普段してもらってるやつより少し複雑だからもう少し時間かかると思ってたのに…凄いなぁ。テンプレを一応開いて確認しながら、内容のチェックも平行に行っていく。

　「うん、大丈夫。」

　「確認ありがとうございます。」

　書類を返せば志麻くんに犬の耳としっぽが付いてる幻覚が見えた気がした。…なんかめっちゃ懐かれてるのは幻覚じゃないと思うけど何でなんだろ…。懐かれることなんて何もしてないと思うんだけど…。特別美人ってわけでもないし…。

　「優秀な後輩で私も助かります。」

　「Aさんの教え方が上手いからですよ。」

　お互いに頭を軽く下げてお礼を言って、顔を見合わせてふふ、と笑う。

　「なるほど、仕事ができる後輩はお世辞も上手いのか…。」

　なるほどねぇ、なんて笑えばお世辞ちゃいます！と間髪入れず返事されてしまって。こうやって必死になってくれるあたり、ほんとに思ってくれてるのかも、なんて。

　「ふふ、ありがとう。」

　「あ、いや…いえ、」

　大人しくお世辞を受け取れば、恥ずかしそうに目をそらされた。…こういうところは年下っぽくて可愛いなぁって思うんだ。