むすんでほどけて【コラボ企画】 (ページ23)

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「「志麻君、お誕生日おめでとーう！」」

その声とともにクラッカーが鳴らされる。
ケーキを取りに帰って部室に戻ってきたところ
ちょうどセンラたちがお祝いしていたようだ。

「この後はAちゃんとデートだろ？」

「隅に置けへんなぁ！」

このこのーなんてにやにやしながら
彼をつついているのは
志麻君と同じ３年生のうらたさんと
私と同じ２年生の坂田君だ。

「そ、俺の家で2人でお祝いすんねん。」

「…まーしぃってこんなキャラだったっけ坂田。」

「いや、もっとこう…クールな…とりあえず……」

「「爆ぜろ、リア充！」」

「ちょっ、やめっ！」

…もみくちゃにされてる志麻くんを見て
ほんとに仲がいいなと思いながら動画に収めておく。

お祝い会も終わり、部活もおしまいにして
志麻くんと一緒に帰る。
あの３人はプレゼントを渡して
にやにやとしながら見送ってくれた。

帰り道、こちらを向いていた志麻くんの視線は
白い箱に向けられている。
なぁ、と呼び掛けてきた彼の瞳は
少し輝いているようにも見えた。

「Aそれ…ケーキ？」

「そうだよー」

「マジで？しかも手作り！？」

「うん、ちょっと頑張ってみた。」

「マジか……うわ、めちゃくちゃ嬉しい……」

繋がれた手が少し強く握られた。
こちらを見てくる志麻くんはすごい笑顔で
作ってよかったなぁ、と
こっちもうれしくなってくるくらいだ。

「で、何ケーキ作ってくれたん？」

「それはついてからのお楽しみー」

「えー…めっちゃ気になるんやけど！」

聞いてくる志麻くんをかわして
スーパーで食材を買って志麻くんの家に向かう
そういえば、志麻くんの家って行ったことないな……
どんな感じなんだろう。静かな住宅街を歩いて
志麻くんの足が止まったのはおしゃれな黒のアパート。

「ここ、俺の家。」

「すごいおしゃれ…なんて言うか、志麻くんっぽい。」

「そう？Aが来るっていうからあわてて片付けたんやけど、散らかってたらごめんな。」

そんな話をしながら、中に入っていく。
階段を上がって2階の1番奥の部屋
少し緊張して鍵が開くのを待つ。

「…はい、どーぞ。」

「おじゃましまーす。」

促されて中に入れば、シンプルな白と黒に
まとめられた部屋が迎えてくれた。
高校生…には見えないその部屋に、ドキドキが強くなる。
さっそく緊張をごまかすために料理を始めることになった。

「なぁ、俺なんか手伝うよ。」

「いいよ、今日は志麻くんの誕生日なんだから…」

「ん、じゃあ…楽しみにしてる。」

その笑顔に、私のやる気は最高潮まで上がった。