＊ ページ16
またその翌日。
廊下でお見かけしたお嬢様は、昨日とは打って変わり、車椅子にかけてグッタリとしておいででした。
慌てて駆け寄ると、志麻様に静止されてしまい。
「少し昨日はしゃぎ過ぎてしまったようです。今日は早めにお休みになられるので、他の使用人にもそう伝えてください。」
「リリー...ごめんなさいね。」
お嬢様は苦しそうな顔を見せて、また志麻様に車椅子を押されてお部屋に戻られました。
おかしい。
昨日の元気なお嬢様もあまり見たことはありませんが、今日のお嬢様はもっとでした。
あんなに一晩で衰弱するわけがありません。
しかも、疲れで衰弱しているような様子ではありませんでした。
まるで...そう。
薬でも盛られたかのような。
居ても立っても居られなくなった私は、
すぐに図書室へと走りました。
「緑の薬...緑の薬...。」
予想は的中でした。
緑色のカプセルに入った薬で、おおよそ人に飲ませて良いものではない、とても毒性の強い薬で、人の神経を麻痺させ、息切れや眩暈を誘発するもの。
「お嬢様が危ない...。」
もし犯人が志麻様なら、お嬢様が危ない。
慎重に。慎重に。
「志麻様、少しよろしいでしょうか。」
お嬢様のお部屋を訪ねると、
まさにご夕食を召し上がられたすぐ後で。
昼間同様顔色の優れないお嬢様に、志麻様がお薬をご準備されているところでした。
「あの...昨日お嬢様が、お薬がお１つ足りないと申されまして。その確認に参りました。」
志麻様の手元を見ると...。
「志麻様、そのお薬は...？」
図書館で見た緑色のカプセル。
やっぱり志麻様がお嬢様を...。
グッと手を握りしめて、志麻様に駆け寄る。
「志麻様、お話があります。ここではお嬢様のお身体に障ります。」
そう言って席を外そうとした時、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「歌い手」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
憧葛 - こんばんは、憧葛です！作品を読ませていただきました。いやもう本当にどれも神作ばかりで……素敵なお話をありがとうございました！これからも頑張ってください！ (2021年12月7日 18時) (
レス) @page38 id: e0ae3127c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
