むすんでほどけて【コラボ企画】 (ページ2)

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「あ"ぁ〜つかれた！！」

会長席の隣で眠気に襲われうとうとしてきた頃、なにをするわけでもなく校庭の方を向いていた私は、先輩があげた声に大袈裟なほどの音を立てながら目を覚ました。

「おわりました？」

「ん〜……あとちょ〜っとなんやけどなぁ」

「えぇ、頑張ってください」

半分寝ている脳内で適当……なんかいい感じに応える。膜を張った瞳からは小さな涙がホロリと落ちた。

「Aが元気出させてくれたら頑張れるかもしれんなぁ」

「……な、なにもやりませんからね」

「まだ何も言ってへん！！」

ほぼ的中するであろう嫌な予感に背中を反らせれば、ほんの少ししょんぼりした様子の志麻先輩が反発するように同じく背中を反らせた。
ふざけたあと改めてこちらを見つめた先輩の大きい瞳が困り顔の犬みたいに輝いて見えた時、私の中の良心がウウンと唸ってしまった。いや、良心と言うより母性に近いかもしれないけれど。

「ちょっとだけ、なら」

「っ、ふふ、まじ？」

「……まじ」

先程までの表情と一転、作り出された雰囲気に「あぁだめだ」と本能的に思った。完璧にスイッチオンしちゃってる。こうなると先輩は本当に"だめ"だった。

優しく優しく、丁寧に私の顔の輪郭をなぞった彼の手のひらはするすると流れて頬へと落ち着いた。
私の目を捉えて話さないその視線が妙に気恥ずかしくてすぐにまぶたを下ろしてしまう。こうするとなんだか期待しているみたいで、ちょっとだけ嫌なんだけど。いつ来るのか分からない温かさにどきどきするのも、心臓に悪くてほんの少し嫌なんだけれど。