【九尾退治】3 ★ ページ36
★羽生サイド
遅い…。一体何分待たせるんだ、花山Aは。
バスルームに籠ってかれこれ1時間くらい経ってんじゃね?
でもここで急かすと、まるで俺が餓えた狼みたく思われるから何も言わないけど。
しかし自分としては、ずっと目隠ししてるのがつらいのに加えて、ほぼ裸で落ち着かない。
ホテルの一室で空調は問題ないとはいえ、あまり経験のないこのシチュエーションをもて余している。
「……。」
静かだな…。まさか帰ったとかないよな?
急に不安になって、我慢できずに花山さんを呼んだ。
「ねぇー、まだなの?」
するとバスルームからがたっと音がした。
なんだ、ちゃんといるじゃん…と、ほっとしたのも束の間。すぐにはっと我に返る。
これ…完全に、“待ちくたびれた彼氏が彼女を呼び込むセリフ”だ…。
俺はすぐに花山さんがいるであろう方へ言い直した。
「ゆ、ゆっくりしてていいからー。」
聞こえたかな…。じっとして耳をすましていると、不意にこのタイミングで扉が開く音がして身構える。
そして、ゆっくりと近づいてくる気配が加わって…。
「は、はにゅーくん…おまた、せ。」
さらに、ガチガチの花山さんの声がすぐ近くで聞こえて、一気に心臓が跳ねる。
「う、うん。」
びっくりした…。
目隠しした状態で話しかけられる恐怖心を考えてなかった…。
心を落ち着かせながら、気を取り直して花山さんを待っていると、彼女がベッドサイドに座った瞬間に感じる人間の重みをきっかけに、またあることに気付く。
これ…見えない方がはるかに想像力を掻き立てられる…!
やべぇ…どうしよ。
おそらく今、確実に下着姿の花山さんが俺の隣にいるのだ。
その事実だけで、さっきまでなんとも思わなかった自分の心と身体に、一気に熱が集中する。
お、落ち着け!
言い出しっぺの俺が取り乱したら、花山さんが戸惑うだろ!
「えと、ここに寝たらいいのかな…。」
震えながらぎこちなく話す声と、シーツの上を移動する音が、俺の五感をさらに敏感にして…。
これ、まじで汗が止まらない…。
「ど、どこ?」
何気なく手を伸ばしたら、花山さんの身体のどこかに、ぽんと触れた。
あっ!と思ったけど、その素肌のふれ合う冷たさに、猛烈な恥ずかしさを感じて。
だめだ…俺今、めちゃくちゃへたれになってる。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時