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【心配】2 ☆ ページ9

「ちょっと待ってて。」

私は少年から離れて、畜光石の光を頼りに壁に触れながらそれっぽい場所がないか手探りで探す。
子供一人が入れるような場所くらいなら、どこかあるかもしれない。

右から順番に、とんとん叩いたり撫でたりしながら念入りに確かめてゆく。
せめて身体半分だけでもいい。入れるスペースがあれば…。

するとかなり左まで進んだ所で、突然すこっと手が空振りした。

「あれ?」

いきなり壁がなくなったような感覚に、思わず間抜けな声が出てしまう。

「どうしたの?お姉ちゃん。」

「ここ、大きくくぼんでる。」

畜光石の光だけでは分かりにくい部分もあるけど、確かにここだけ壁がない。

「え、そんな所にくぼみなんて無かったはずだよ?」

少年があり得ないふうに言うのだけど、試しに手を突っ込んだら、かなり奥行きがありそうだということがわかる。

「これ…どこかに繋がってるのかな…。」

「そんなの無いって。前に来たけどここは行き止まりだったし。」

行き止まり…にしては風の流れがあるような…。

「ねぇ、ちょっと来てみてよ。」

大げさに手招きすると、半信半疑ながらもやっと少年が私の側へ来てくれたので、腕を掴んでくぼみに触れるように促す。
すると、えっ?!と驚いた後、さらに数歩中へ入った。

「うっそ!どうなってんの?!」

ごつごつした石に手を添えて、壁づたいに歩く。

「あ、待って。」

畜光石がぼんやりとした明かりで道しるべを照らしてくれる中で、恐る恐るながらも慎重に進んでゆくと、どうやらくぼみだと思っていた場所は本当に通路のようになっていて、その事態の好転に徐々に私たちの気持ちが明るく高揚してゆく。

「どこに出るんだろう…。」

少年の呟きが洞窟に反響した。
この際、ここにいるよりずっといいので、二人手を取り合ってゆっくりと歩き出した。





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鹿(プロフ) - みなみさん» どうなるんでしょう?!フリーどうなるんでしょうか!昨日はなかなか寝付けず、今日は遅めに起きました^^;朝のニュース、ずっとイチローさんで、ちょっとがっかり!? (2019年3月23日 8時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - サルコウが…サルコウがぁぁぁ…!点差が大きいな…。一面に書かれる言葉を気にしていたゆづだけど、全部イチローさんに持っていかれましたね。やっぱりイチロー引退には勝てないよね。そうか、イチローが引退か…。野球ファンでなくとも、結構おおきいな、これは。 (2019年3月22日 8時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 以前より、声が良くなった気がします^^そうとう使ってるなと思ったんですが…。(絶対家で歌いまくってると思われ)早く日本に帰ってこないかなー! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» すごい!現地観戦だなんて!楽しんで応援してくださいね^^帰国はまだかなー。ニュースも目が離せないですね! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっちもこっちも見るところがいっぱいあって、王子はやきもちやいちゃいますね。雪肌精のCM、素敵ですね。芝居の台詞はダメでも、ナレーションは心地よい声で向いてる気がします。引退後はあちこちから引っ張りだこでしょうね。 (2019年3月17日 19時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2019年2月15日 20時

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