【仲良いの?】7 ★ ページ7
「……。」
洞窟へ行くAに付かせていた護衛だ。
すぐさま俺の使用人と耳打ちで話をしているようだが…。
なんとなくそのまま二人のやり取りを見ていると、その使用人が目で合図をするように俺に視線を向けてきたので、何事かと小首を傾げる。
トラブルだろうか。
神妙な面持ちでこちらへ向かってきたので、動かずじっと待っていると、さっき護衛がしたように口元を隠して耳打ちされた。
「王子、洞窟で崩落が発生した模様です。」
「なんだと…。」
その内容に眉がぴくっとなる。
洞窟というのは、さも今Aがいる場所のことなのかという意味を込めて、鋭い視線を使用人に向ける。
「規模は大したことはないそうです。ただ…。」
「ただ、何。」
「王女さまと村の少年が一人、通路が塞がれ閉じ込められているそうです。」
「……。」
息を飲んで、唇をぎゅっと噛み締めて舌打ちする。
最悪の展開じゃねぇか…。俺は怒鳴りたい気持ちをぐっとこらえたまま、踵を返してすぐさまこの工房から出た。
「王子さま!」
村長にも聞こえていたのか、小走りに俺の後を付いてくる。
「村長、洞窟へ案内して。土砂の撤去を早急に。救護班の手配と、あと子供の親にも連絡を。」
「分かりました!」
使用人を通して徐々に事故の事実が広がっていく中、突如としてこの場に緊張が走る。
そして最後に一番気になることを護衛に尋ねた。
「Aは無事なの。」
「はい。町田さまと会話をされたそうです。崩落は小範囲だそうですので…。」
「そんなん関係ねぇし。」
その返答を間髪いれずにぶった切る。
Aは今、ちょっとした環境の変化でさえ気を付けないといけないくらい大事な時期なのだ。
いくら規模が小さいとはいっても、それに耐えうるほどの身体じゃないことは、自分が一番良く知っている。
たとえ肉体的には問題点なくても、精神的なダメージによる負傷だって充分ありうるのだ。
「ここから近いの。」
「走れば五分ほどです。」
護衛と小走りのままやり取りをしていると、村長もまたあれこれと周りに指示をする。
「王子さま、馬を用意致します。」
「必要性ない。それより今言ったことを急いで。」
馬の準備をしている時間がもったいないので、それだけ言い残して護衛と共にさらに走る。
事は一刻を争う。
例え今Aが無事でも、お腹の子供がそうだとは限らないのだと自らに言い聞かせながら、最善を尽くすために全速力で洞窟へと急いだ。
.
101人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - みなみさん» どうなるんでしょう?!フリーどうなるんでしょうか!昨日はなかなか寝付けず、今日は遅めに起きました^^;朝のニュース、ずっとイチローさんで、ちょっとがっかり!? (2019年3月23日 8時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - サルコウが…サルコウがぁぁぁ…!点差が大きいな…。一面に書かれる言葉を気にしていたゆづだけど、全部イチローさんに持っていかれましたね。やっぱりイチロー引退には勝てないよね。そうか、イチローが引退か…。野球ファンでなくとも、結構おおきいな、これは。 (2019年3月22日 8時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 以前より、声が良くなった気がします^^そうとう使ってるなと思ったんですが…。(絶対家で歌いまくってると思われ)早く日本に帰ってこないかなー! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» すごい!現地観戦だなんて!楽しんで応援してくださいね^^帰国はまだかなー。ニュースも目が離せないですね! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっちもこっちも見るところがいっぱいあって、王子はやきもちやいちゃいますね。雪肌精のCM、素敵ですね。芝居の台詞はダメでも、ナレーションは心地よい声で向いてる気がします。引退後はあちこちから引っ張りだこでしょうね。 (2019年3月17日 19時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2019年2月15日 20時