【公開練習】8 ☆ ページ46
「あ、あっちでまっちーがステップしてます。」
え、どこ?
きょろきょろとリンクを探すと、やや隅っこ寄りにいるのが見えた。
「まっちーさんも綺麗なスケートだね…。」
過去のプログラムだろう。さっきも少し見たけど、指先まで行き届いた動きは、まるで昔劇場で見たバレエのようだ。
「ティルシェムですから。」
え?
「何そのティルシェムって。」
「自分の運命は自分で切り開く…みたいな意味ですって。まっちー独特のボキャブラリーですよ。」
「ふーん。」
真凜が少し呆れたような言い方をしつつ。
ひょっとして不思議キャラ…?いや、まっちーさんに限ってそんなはずはない。
あんなにしっかりしたゆづ王子の側近は他にいないのだから。
そんなティルシェムに気をとられていたら、目の前をすごいスピードで誰かが通りすぎた。
わ…。ゆづ王子だ。
直前まであまりに無音だったから気付かなかった。
速すぎて表情は見えなかったけど、ジャンプの助走かなとじっと姿を追っていると、跳び上がった瞬間、一回転だけして降りてきた。
「あ、パンク。」
隣の真凜先生が言うには、失敗ジャンプのようで、ご本人も悔しそうに氷を踏んづけている。
そんな中、再び無良さんが、ゆづ王子と入れ違うかのように助走をつけて私のいる方へ向かって滑ってきた。
そしてフェンスぎりぎりの所でジャンプを踏み切る。
「わぁ…!」
まるで、どーんと効果音が付きそうなジャンプとその綺麗な着氷に、会場から大きな歓声と拍手が沸き起こると同時に、私も自然と拍手を送る。
すごい…。間近で見るとさらにダイナミックだ…。
これは普段見慣れている騎士の姿からも通じるものがある。
毎日鍛えてるし、パワーが有り余ってるのかも。
「あ、Aさま。無良さんのファンになっちゃいました?」
「へ?!」
「まるで推しを見つめるような眼差しですもん。」
不意に真凜が、にやにやしながらからかうように肘でつついてくる。
「そ…そんなんじゃないよ。私の推しはゆづ王子だもん!」
今のはたまたま目の前ですっごく綺麗なジャンプを跳んだからだ。
この気持ちはただの応援。それだけなのに。
「あ、ゆづ王子がまたこっちへ来ますよ。」
「え?!」
今度はゆづ王子…。
目まぐるしく変わるリンクの様相に、私の目もまわりそうだけど、自分の推しである夫となれば見ないわけにはいかない。というか見たい。
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鹿(プロフ) - みなみさん» どうなるんでしょう?!フリーどうなるんでしょうか!昨日はなかなか寝付けず、今日は遅めに起きました^^;朝のニュース、ずっとイチローさんで、ちょっとがっかり!? (2019年3月23日 8時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - サルコウが…サルコウがぁぁぁ…!点差が大きいな…。一面に書かれる言葉を気にしていたゆづだけど、全部イチローさんに持っていかれましたね。やっぱりイチロー引退には勝てないよね。そうか、イチローが引退か…。野球ファンでなくとも、結構おおきいな、これは。 (2019年3月22日 8時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 以前より、声が良くなった気がします^^そうとう使ってるなと思ったんですが…。(絶対家で歌いまくってると思われ)早く日本に帰ってこないかなー! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» すごい!現地観戦だなんて!楽しんで応援してくださいね^^帰国はまだかなー。ニュースも目が離せないですね! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっちもこっちも見るところがいっぱいあって、王子はやきもちやいちゃいますね。雪肌精のCM、素敵ですね。芝居の台詞はダメでも、ナレーションは心地よい声で向いてる気がします。引退後はあちこちから引っ張りだこでしょうね。 (2019年3月17日 19時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年2月15日 20時