【翡翠と珊瑚】3 ★ ページ26
それに知らなかったとはいえ、無断で描いた罪悪感を抱かせたままというのも後味の悪いものだ。
今日は思い切り、何のしがらみもない状態で描いてくれたらと思う。
「王子、本日は午後からお城便りのインタビューがありますので、そろそろ始めましょう。」
「そうだね。じゃあ早速取りかかろう。」
よろしくね。と絵師の肩にぽんと触れてから、まっちーに促されつつ用意された立派な椅子に腰かける。
構図的には俺を真ん中に、両サイドにAと佳菜が立つようだ。
「王子さまは全体的に身体を少し横に向けて、目線をこちらに。」
「こう?」
まるで左右にピンクの花が咲いているみたいなイメージを想像していると、早速絵師から注文がきたので、言われた通りに動く。
「ええ、目付きは多少きつくてもいいですが、口元は柔らかめにお願いします。」
「ゆづは目でその辺焼き尽くせるからね。」
「んなわけねーし。」
突然降ってきた佳菜のたちの悪い冗談に小声で言い返すのだが、たとえ目付きが悪かったとしても、それは試合の時だけだと自己完結する。
「正室さまはいつも通り、少女の笑顔でお願いします。」
「はーい!」
「佳菜、元気よすぎ。」
「普通だもん。」
そのテンションであのメスゴリラの肖像画を描かせたかと思うと、微妙な気分だ。
「側室さまは聖母のようなイメージで首を傾げて…そう、そんな感じでございます。」
Aは絵師の指示を的確に受け取っているようで、手を前にして優しく微笑んでいる。
そんな二人を見ていると、うちの奥さんは本当に対照的だなと思う。
「少女と聖母って…。」
「うるさい。そこ突っ込まないで。」
「痛っ!」
聞こえないように呟いたつもりが佳菜にしっかり聞かれていて、今度は足でこつんとかかとを蹴られる。
「王子さま、じっとしてくださいませ。」
反射的に斜め後ろを振り向いたものだから、絵師に注意されてしまった。
「やーい、怒られてやんの。」
「……。」
お前のせいだし。
「お二人とも、使用人たちが笑ってますから…。」
そしてこそっとAに注意される。
「佳菜といると俺のイメージ崩れるわ〜…。」
不本意に思いながらも再び前を向くと…。
「あ、佳菜の顔、ゆづよりも大きく描かないでね!」
絶対だよ!と最後のお願いみたいなセリフが出る。
これはきっと肖像画にもそれぞれの個性が出ちゃいそうだなと、苦笑いしつつ小さなため息が出た。
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鹿(プロフ) - みなみさん» どうなるんでしょう?!フリーどうなるんでしょうか!昨日はなかなか寝付けず、今日は遅めに起きました^^;朝のニュース、ずっとイチローさんで、ちょっとがっかり!? (2019年3月23日 8時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - サルコウが…サルコウがぁぁぁ…!点差が大きいな…。一面に書かれる言葉を気にしていたゆづだけど、全部イチローさんに持っていかれましたね。やっぱりイチロー引退には勝てないよね。そうか、イチローが引退か…。野球ファンでなくとも、結構おおきいな、これは。 (2019年3月22日 8時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 以前より、声が良くなった気がします^^そうとう使ってるなと思ったんですが…。(絶対家で歌いまくってると思われ)早く日本に帰ってこないかなー! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» すごい!現地観戦だなんて!楽しんで応援してくださいね^^帰国はまだかなー。ニュースも目が離せないですね! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっちもこっちも見るところがいっぱいあって、王子はやきもちやいちゃいますね。雪肌精のCM、素敵ですね。芝居の台詞はダメでも、ナレーションは心地よい声で向いてる気がします。引退後はあちこちから引っ張りだこでしょうね。 (2019年3月17日 19時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年2月15日 20時