【小説】神様の依頼箱 (ページ20)

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筆の神は今日も…佐伯禄郎ページ20

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白花の髪とそれを結んでいる金糸雀を揺らしながら､彼は新撰組局長の頭を撫でた｡

「八重さん、無理はしないようにお願いしますね？」

「おう、気ぃ付けるわ」

「それ前も聞きましたけど」

毎度の台詞｡苦笑いを零すと､局長､宮本八重はゴミを捨てに彼の手から離れた｡
八重が見えなくなるまで見送ると､彼はふぅ､と吐息を漏らし､草履を脱いで屯所に足を踏み入れた｡

彼こと､佐伯禄郎は､春和景明隊に属し､隊長の小和泉弥生の下で日々妖と戦っている､一新撰組隊士である｡
物腰柔らかな態度とその天然っぷりで舐められがちだが､10年も前から新撰組に居るベテランだ｡

そんな彼の朝は､八重の木刀を割る音と､長年の友人の騒がしい物音で始まる｡

「あっっ､ろっくん!!やっと帰ってきた!俺の帯知らない!? 」

彼が寝泊まりしている部屋に帰ってくるや否や､友人の鴣文が辺りに物を散乱させながら忙しなく帯を探していた｡飛んでくるものを片手でキャッチし､散乱したものを回収しながら鴣文に近づくと､

「おや､まだ探していたんですか?見つかったのでは? 」

「さっきのは違うっ､別の人のだった! 」

柔らかい声色で問うも､焦った声に遮られた｡
毎回何かをなくしている友人に､毎回彼は自分のものを貸そうとするのだが､友人には友人なりのこだわりというものがあるらしく､毎回探すのを手伝っている｡
周りは､なんでそこまで尽くすことが出来るのだろう､と不思議に思っている事だろう｡否､思っている｡

部屋をぐちゃぐちゃにしていく鴣文の後を片付けながらついて行っていると､ふと､見覚えのある布を見つけた｡濃い紺色のそれは､彼の帯によく似ている｡
先程まで鴣文が引っ掻き回していた場所だ｡

「鴣文､見つけましたよ」

友人は､物を探す､ということが得意では無いらしい｡
皺を伸ばしながら鴣文の元へ行くと､何故か既に腰には帯が巻いてあった｡

首を傾げて居ると､こちらに気付いた鴣文が､一言｡

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「嗚呼､俺の能力使えば簡単に見つかったわ!!! 」

6/4更新すとろべりー