▷ ページ8
・
輝夜は自分の褥の上で目を覚ました。
ガバッと衾ごと起き上がる。
衾を退け、自身の足を見ると、傷が綺麗に無くなっていあ。
どういうことだ、と困惑している様子。
ふと周りの様子に集中すると、やけに静かで、輝夜は少し不安になった。
そっと襖を開け、廊下に出る。
宿儺と裏梅の名前を呼ぶ。
しかし何も返事は返ってこない。
心臓が嫌な音を立てていた。
咄嗟に戸口に向かう。
勢いよく家を出ようとした…が、何かとぶつかった。
顔を押さえながら上を見ると、宿儺がそこには立っていた。
昨日会った姿の宿儺であった。
宿儺を見て、輝夜はぶわっと涙を流した。
彼女が急に泣き出したことにより、宿儺はまごついてしまった。
「だ、大丈夫か」
「ごめんなさい……。その…急に不安になっちゃって……」
「すまない、オマエが目覚めるまでそばにいるべきだったな」
宿儺は輝夜の涙をそっと拭った。
まだ安静にしてた方が良いと言われ、輝夜は宿儺に抱えられて寝所に戻った。
「昨日のことだが。……不老不死とはどういうことだ」
その言葉を聞いて、そういえば宿儺に話してしまったな、と彼女は思い出した。
「私、月から追放された身なんです」
「は?」
鳩が豆鉄砲をくらったような顔を宿儺はした。
信じられないのも無理がないだろう。
非現実的な話。
宿儺の様子を見て、輝夜は眉を下げた。
「月には不老不死の薬が存在するんです。私は、それに手を出してしまった。存在するのに禁忌なんですよ。……酷い話ですよ」
「……何故、不老不死の薬に手を出したのだ」
・
151人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時