▷ ページ34
・
私は寝ている虎杖を抱えた。
複数人の足音が聞こえる。
こちらに走ってくる?
「……!!」
あぁ、一年生の二人か。
ここで出会えたのはちょうど良かった。
眠っている虎杖のことを任せよう。
すると伏黒が「玉犬」と言う。
釘崎も私に向かって構える。
あー……これは勘違いされてる。
「待て!恵!野薔薇!」
二年生の真希の声が響く。
が、それと同時に私は攻撃されて避ける。
「なんで止めるんですか!」
「悟の話を最後まで聞いてから行け」
「しゃけしゃけ」
流石に虎杖を持ちながら戦うのは危なかったから、二年生たちが止めに入ってくれて良かった。
すると、私の腕の中で虎杖がモゾっと動く。
目覚めたか。
目と目が合う。
途端に私の耳に彼の声が直撃した。
「最近の若者は元気だな……」
私はそっと虎杖を降ろす。
虎杖が目覚めたことに、二人は驚きを隠せないようだ。
一体、五条はこの二人になんて伝えたんだ?
「五条からなんと聞いたか分からないが、上層部とかいう奴らから虎杖悠仁…の中にいる宿儺を殺すように言われたから、宿儺を殺しただけだ。虎杖の方にはなにもしていない」
それを聞くと安心した顔になる。
まぁ、嘘ではあるのだが。
無害な生物になったのだから問題ないだろう。
「宿儺がいなくなった俺ってどうなるわけ?……呪術師じゃなくなるの?」
「あ…」という声が響く。
そういえば、元は非呪術師らしいな。
だが……。
いゃ、これは私が伝えるべき事ではないだろう。
「呪力とやらならお前に与える事が出来るぞ。ただ、君は…呪術師という過酷なものから解放されたのに、またその道を選ぶのか」
虎杖は黙ってしまった。
考えているようだった。
「うん。呪いの被害があるのを知ってて、それを忘れる事なんて出来ないよ。俺は俺が出来ることはしたい」
「……そうか。興味深いな、君は」
「!」
私は彼の頭に手をかざす。
非呪術師から取った呪力を一部を、彼の形に合うように流し込んでいく。
これぐらいでいいだろう。
「と、言っても。余のおかげで呪いの被害は右肩下がりみたいだがな。……そのうち呪術師なんて廃れるんじゃないか」
「た、確かに」
まぁ、でも。
力を持っていることを良いことに、悪さをする奴がいるから、そんな簡単に呪術師は消えないと思うがな。
151人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時