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薄暗い部屋。
橙色の灯りが不気味に見える。
「月から来たというお前に命ずる、虎杖悠仁を殺せ」
はぁ。誰にものを言っているのやら。
翌日のことだ。
不機嫌そうな五条が私の元を訪ねて、ここへ連れてきた。
ここにいるのは呪術界の上層部と呼ばれる人間だそうだ。
あの感じからして、五条はかなり毛嫌いしているのだろう。
虎杖の置かれている状況は、来る途中に五条から聞いた。
虎杖の中には両面宿儺っていうやばいやつがいるそうで。
昔の人が物凄く頑張っても勝てなかった相手。
殺せなかった相手。
虎杖の中に囚われている今、虎杖を殺せばその両面宿儺ってやつも死ぬってことらしい。
それで昨日は、彼に刺客を向けたわけだ。
悪いが彼を殺す気にはなれない。
そもそも何故私がコイツらの命令などに従わなければいけないのだ。
「悪いけど、私は君たちに従う理由がない。呪術師じゃないし」
「この呪術師の世界に足を踏み入れた時点で、お前は逃げられない」
面倒くさいやつらだ。
コイツらを見ていると、昔の月のことを思い出す。
腐ったみかんが脳みそに詰まったような集まり。
「で、対価は?」
「対価だと……?」
「そうだ。対価だ。余に頼み事をするのだ、タダでするわけないだろ」
少しざわつく。
馬鹿か。タダでこの私を働かせようにも、そうはいかないぞ。
「悪いが金はいらないぞ。地位や名誉もだ。貴様ら地球人は、この余に何を差し出す?」
「……なら、お前に不老不死の薬をやろう。効果は保証は出来ないが、何かしらはあるとは約束しよう」
私は静かに笑った。
それを見て安堵したようだが……
「交渉決裂だ。帰る」
「……なんだと!?」
「貴様!図々しいにも程があるぞ!我々をなんだと思って…!!」
「図々しい?ハッ!その言葉、そのままお返しする。余に不老不死の薬などいらぬ。余は不老不死だからな。貴様らの、10倍以上生きておるわ」
部屋が老人どもの声でこだまする。
嗚呼、不愉快だ。
別にコイツらがいなくても呪術界は回っていくのだろ?
私が呪力とやら一般人から消して、呪いの数も減った。
なら、コイツらはいらないだろう。
不快だ。
薄暗い部屋は、いつの間にか静まり返っていた。
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ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時