▷ ページ30
・
私は倒れている人間たちに近づく。
死んでから時間は経っていないから、手間はかからないだろう。
私は術をかけようとした。
しかし、心臓が熱くなる。
「輝夜さんっ…!?」
「人間ごときがッ!!」
私は容赦なく首を刎ねた。
心臓を刺された。
気配を消すのが得意だったのだな。
焼かれているような感覚だ。
私は刺さった剣を抜き、その場に膝をつく。
久しぶりの感覚で、私の呼吸は乱れる。
1000年以上、私は誰かから傷つけられたことがなかった。
この感覚を忘れていったと言っても過言ではない。
虎杖が私に近づいてくる。
「今、家入さんところに!」
上手く力が練れない。
こんなの簡単に治せるのに。
辛い、痛い、痛い、痛い。
「契闊」
静かにそう唱えられる。
虎杖の顔に、黒い紋様が浮かんだ。
もう一つの魂が、彼の体の主導権を握ったのだと目から情報が入る。
「……」
私に何か術をかけられる。
すると、痛みがスッと引いていく。
回復してくれた?…何故?
終始無言のまま、体の主導権は虎杖に戻った。
「大丈夫だった!?宿儺になにかされてない!?」
「……宿儺?」
初めて聞いた名前のはずなのに、初めての感覚がしない。
とりあえず、虎杖を私は落ち着かせる。
「私なら大丈夫だ。回復してもらったみたいだ、その宿儺とやらに」
「……!」
あの感覚を思い出そうとすると吐き気がする。
もう二度と痛い思いをするのは懲り懲りだ。
____何故あのような顔をしたのだ?
・
151人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時