悲しい顔 ページ29
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随分とここでの生活も慣れたものだ。
生徒達は元気で、見ていて微笑ましい。
……月兎たちを思い出す。
これが本で読んだほーむしっくというやつなのだろうか。
暖かな木漏れ日が私を包み込む。
地球は陽の光があって暖かいな。
「あれ、輝夜さん?偶然!なになに、お散歩?」
「虎杖か。……お前の友は一緒ではないのか」
「俺だけ単独任務で、その帰りなんすよ」
呪術師とやらは忙しいな。
まぁ、帝の頃の私よりは忙しくはないか。
「……あれ。五条とやらが、余のおかげで呪いの数は減ったと聞いていたが」
「あー…なんか、最近変な噂が立ってるんですよ。それの調査に行かされただけですよ」
噂……?
夏油から更に呪術師の世界について詳しく聞いたが、噂の調査までさせられているとは。
噂が呪いになるケースもあるとは聞いてはいたが……
少し胸騒ぎがするのは気のせいか?
気のせいか。
地球のことなど私には関係はない。
「……!伏せろ!」
私がそう言うと虎杖は身を低くした。
反射的に攻撃してしまったが、まずかっただろうか。
ばたりと人間たちが倒れていく。
石畳に鮮やかな赤色が散る。
殺気が凄いな。
確実に殺すために来たってわけだ。
……この私を?
いゃ……
私は横目で虎杖の事を見る。
未だに彼のことを詳しくは聞いてはいないが、何かあることは確かだ。
「余の側を離れるな。まだ何人かいる」
「俺、守られるほど弱くはないですよ」
「あのな。コイツらはお前を殺せる算段があるから来ているのだ。大人しくしていろ」
ムスッとした顔で私のことを見るが、私はそれを見なかったことにした。
気配的にあと五人はいるな。
「ここで退けば殺さないでおいてやろう!」
退く気配は無さそうだな。
なら問答無用で殺させてもらうぞ。
……悪いが、今の私に慈悲を与えるほどの感情は無い。
五人とも生命の気配が消えたのが分かった。
「もう大丈夫だろ」
「……殺したの」
「あぁ。慈悲を与えるわけがないだろう。人を殺そうとするのなら、殺される覚悟もあるということだ」
この少年は、私に少々怒っているのか?
根っからの善人なのか。
私はため息をついた。
「……分かった。生き返らせておく。ただ、しばらくは立ち上がれないようにはするぞ」
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ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時