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なんとか本人の魂を体に戻すことが出来た。
あまり遠いところに行ってなくて助かった。
あとは脳に記憶を刻むだけだ。
「……終わった」
私は重いため息をつく。
疲れた。
二人を呼び戻すか。
部屋の扉を開けると、すぐ外に二人はいた。
「終わったぞ」と私は言う。
綺麗になった元死体を見て、驚いているようだった。
「目覚めさせるが、良いか?」
「あぁ」
私が術をかけると、男の目はゆっくりと開いていく。
状況が把握出来ないのか、視線が右往左往している。
「名前は分かるか」
記憶を戻したが、失敗してた時のことを考え、確認のために尋ねる。
「夏油傑」と小さい声で言った。
私は目線で二人に合っているかを確認する。
すると頷かれたので本人なのだろう。
「……私は、死んだはずだ。そして…………最悪だ……」
なんだこの根暗具合は。
本当に生き返らせて良かったのか?
「生き返るのなら記憶は消して欲しかった……」
「消すか?」
「……もう良いよ」
「傑」
「悟」
この二人は本当に親友なのか?
空気が重すぎる。
「君が…私が生き返るのを望んだのかい」
「そうだよ。オマエに聞きたいことがある。……傑は“俺たち”の隣でも心の底から笑えなかったのか」
「……!」
「別にいいよ、非呪術師を見捨てても。俺が助けるから。オマエは、俺たちを助けてくれ」
え、なに。
この二人…なんか闇深い?
親友ってこんな闇深いものだっけ?
私は、ハルとはのほほーんとした関係だった。
まぁ、心の拠り所として頼っていた部分はあるが。
「……オマエは、心の底から笑えなかったとか言ってるが、私たちからみたオマエは…私たちの隣では心の底から笑ってたよ」
めちゃくちゃ良い奴らじゃん。
私…此処にいて良いのか?
この話聞いちゃって良いのか?
「……何を今更。私はもう、悟たちの隣には立てないさ」
「うるせぇ!俺が無理矢理にでも立たせてやる!何度でも、何度でも……!」
なんかこのままだと話が長引きそうだな。
「あのさ。君たちの間になにがあったかは知らないけどさ。君が心の底から笑えなかった理由は分からないけど、今から笑えるように過ごしてみなよ。こんな素敵な親友がいるんだからさ。相談でもなんでもしてさ。勿体ないよ」
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ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時