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フ「おや、ナイスタイミングと言うやつかの?」
開いた扉から店の中に入って来たのは、白いワイシャツに黒いズボンとラフな格好をした男性。
その手にはビニール袋がいくつもある。
振り返って男性を見た後、私は自然な口調で話しかけた。
『久しぶりね、海藤。元気そうで何よりだわ』
海「…っ!」
海藤は私の姿を見て驚き、目を見開く。手に持っていたビニール袋を床に落とす程。
そして凄まじい速さで私の前に来るとその場に跪いた。
(え…)
海「お久しぶりで御座います。玲様。お出迎え出来ず申し訳ありません」
『い、いや大丈夫よ。買い出しに行ってたんでしょう?なら仕方ないわ』
だから頭を上げて。
そう言うと少しの間の後に上げてくれる海藤。
しかし、その顔は出迎えられなかった事への後悔からか、シュンとしている。
(…可愛い)
そんな思いが過る中、フィズが彼に話しかけていた。
フ「ご苦労だったな。して、海藤に頼み事があるのだが」
海「はい、何でしょうか店長」
(ふふ、海藤はフィズのことを店長と呼ぶのね。何か笑える)
フ「実はな、玲が昼食を食べんのだ。だからお前が作ってやってはくれないか?」
『ブッ!ちょ、何言ってるのよフィズ!』
予想の斜め上の答えに思わず飲んでいたコーヒーを吹き出す。そしてそのままフィズの言葉を訂正しようとするが…
海藤がキラキラした目で私を見て、ぜひ作らせてくださいとお願いしてきたため、その言葉を飲み込む。
フィズはそんな状況を楽しんでいるらしく、ニヤニヤと笑っている。
(うぅ、フィズめ。私が彼らの推しに弱い事知ってるくせに…!)
『はぁ、分かった分かった。そんなに言うならお願いするわ』
海「!ありがとうございます!!」
そう言うや否や、海藤は床に落とした袋を拾った後、店の厨房に向かっていった。
私は残りのコーヒーを飲みほし、カップを置くと同時にフィズを睨む。
睨まれたフィズは両手を挙げながらもおどけた口調で言う。
フ「まぁ待て。これで先程の話しの続きが出来るだろう?」
『…そうね』
フ「はは。悪かった。謝ろう…だからナシにしてくれんか」
『ふふ、別に怒ってないわよ。久しぶりに会えたしね』
フ「そうか」
えぇと言って微笑むとフィズも笑い返してくれる。
厨房から微かに漂う食欲をそそるような匂いがする中、私たちはここに来た本来の目的の話しを再開することにした。
(フィズからの頼みねぇ…嫌な予感しかしないわ;;)
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宵宮月 - 水縹さん» ありがとうございます。取り敢えず、勧めてくださったお姉様と、ハマってくださった水縹様に感謝です!あ、どうでもいい話ですが、姉がいるっていいですね。うらやましいぃ(( (2018年3月29日 17時) (レス) id: ded44c7654 (このIDを非表示/違反報告)
水縹 - 姉に勧められて読んだのですが…ハマりました。完全に。もう、面白くて好きです!ほんと好きです!頑張ってください。 (2018年3月25日 16時) (レス) id: 82e8451007 (このIDを非表示/違反報告)
宵宮月 - ゆきさん» 設定がツボとは...ありがとうございます!私もです← こうだったら良いなぁと思うものを詰め込んだら、こんな設定になりました(笑)更新は遅いですが、気長に待っていただけると幸いです。 (2018年3月11日 22時) (レス) id: ded44c7654 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初コメ失礼します!夢主の設定が凄いツボです!あと、面白くて好きです!ありがとうございます!! (2018年3月10日 1時) (レス) id: 7e2effa0f0 (このIDを非表示/違反報告)
宵宮月 - aboutさん» ありがとうございます!そう言ってくれる貴方の方が神だよ...嬉しすぎて顔ニヤける((タメですみません; (2018年2月22日 20時) (レス) id: ded44c7654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宵宮月 | 作成日時:2017年8月6日 17時