25話 ページ33
遠野「諦めてたまるか!!殺してやる…っ!お前を殺さなきゃ…っ死んでも死にきれねぇ!!」
甲田さんはただじっと先輩を見つめると彼に向かって頭を下げた。
甲田「…っすまなかった…っ!」
遠野「黙れ!!!」
一「やめろ遠野!!そんな事をして死んだ瑩子さんが喜ぶと思うのか!」
『先輩っ!!』
あたしがそう声をかけると、先輩は一瞬あたしを見つめて動きを止めたが、目を瞑るとすぐに「あああああ!」と声を上げて甲田さんの肩に向かって斧を振り下ろした。
止める間もなく振り下ろされたそれは甲田さんの肩を切り裂き、彼は肩を抑えながら崩れ落ちた。
みんなが目を見開く。
先輩がもう一度斧を振り上げて、あたしが一歩駆け出そうとしたその時。
美雪,空「やめて!!!」
その声が聞こえてきて、先輩は動きを止めて声の聞こえてきた方を振り返った。
あたしたちも振り返ると、そこには足を抑えながら必死に先輩に訴えかけようとしている美雪と空の姿があった。
『美雪…空…』と声をかける。
美雪「もうやめて…っ」
空「…甲田さんを…許してあげて…っ」
痛みに耐えながらも必死に先輩に訴えかける。
先輩はじっと2人の姿を見つめた後、上を見上げて「うわあああ!」と叫ぶと、斧を振り回して此方に走ってきた。
はじめちゃんがあたしを抱きしめて先輩を回避してくれると、先輩はあたしたちの奥に立っていた美雪と空にぶつかってそのまま走り去っていった。
一「美雪!武内!」
『大丈夫!?』
すぐにみんなが駆け寄る。
足を押さえて蹲る2人にあたしとはじめちゃんは顔を上げて叫んだ。
一「遠野!!」
『待て!!』
あたしたちは甲田さんに美雪と空を預けて急いでみんなで後を追いかけた。
悲恋湖の近くへと来ると、あたしは見つけた姿に声を上げる。
『はじめちゃん、あそこ!!』
一「遠野ぉ!!」
隣に並んだはじめちゃんが叫ぶ。
先輩はすでに悲恋湖をボートに乗って横断している所だった。
姿はすでに中間あたりだ。
一「くそっ」
甲田さんに肩を貸してもらった美雪と空が追いついた。
はじめちゃんが悔しそうに呟いた瞬間、ボートは爆発した。
聖子さん、美雪や空が悲鳴を上げる。
美雪「ボートが…」
甲田「自爆した…!」
一「……馬鹿野郎…っ」
『……っ』
口元を押さえてはじめちゃんの肩に顔を埋める。
空「あ…っ」
九条「悲恋湖が…赤く染まっていく」
空と九条さんの声に顔を上げると、悲恋湖は血のように赤く染まっていた。
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紗菜 - こんばんは、私も金田一シリーズ初代が一番好きで見てました。初代の夢小説って他には見かけないので一気に読み上げました。続き楽しみにしてます、更新がんばって下さい。 (2019年9月22日 0時) (レス) id: 83af26d21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年8月6日 1時