秘書ってペットじゃないの、知ってます？【夏油傑】

39・お役御免？ ページ39

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-硝子side-


同期で親友のAをある男の邪すぎる思惑と権力行使で無理矢理秘書にしてから数ヶ月。

真面目な彼女は毎日ひたむきに頑張り、
秘書として身につけるべき知識や所作なんかも凄く板についてきたって感じでこっちまで嬉しい。


そして私より嬉しそうな男が約１名。

ある日いきなり訪ねてきては一目惚れしたかもしれないと言う奴に、ふざけんなと煙を吹きかけてやった。お前の下半身のユルさナメんなよ、全部知ってるからな、とつっぱねても
本気だと言うえらい神妙な顔にこっちが動揺している隙にカートン積み上げられて‥
受諾した。そう、仕方なく。


女遊びをパタリと辞めたのは正直驚いたけど。

Aの様子を見る限りでも、二人はビジネスパートナーとして上手くやってると思った。

『わたしの部屋で飼いたい』って言った時は頭沸いてんな、と思ったけど面白そうだし好きにさせた。


相変わらず他の社員の前では能面貼り付けたような表情だけど、Aの前では素を出せてるみたいだし。

肩の力が抜ける存在が近くにいるってなんか羨ましいな、なんて思ってた矢先だった。


京都出張から帰って来た辺りからAの様子がおかしい。

普段通りにしているつもりなんだろうが他はともかく私にはバレてるよ。そしてそんなAの態度、絶対夏油も気づいてんだろ？何放ったらかしにしてんの。

仮にもし夏油本人のせいなら‥

あいつのムスコを二度と使い物にならなくしてやるか、うんそうしよう。



...




私が初めて彼の手を拒絶してから、しばらく
一人で気まずい思いを抱えて過ごした。


態度には出さない。大人だし、仕事だから。


夏油さんはそんな事気にもしてないんだろうと思っていたけど前ほど触れてこなくなった。
けど、これで良かったのかもとも思う。


きっちりと一線を引いて仕事に邁進した。


そんなある日

パウダールームでお化粧を直している時
例の先輩達から声をかけられた



『伊地知さん、戻って来るんだってね』



先輩から言われた人名を記憶から辿る


「い、じち、さん？‥‥ああ、」


『青山さんの前に夏油さんの秘書だった人だよ。退院して療養も済んだから復帰するんだって。あれ？聞いてなかったの？』


「ぇ？‥はい」


そうなんだ、夏油さん何も言ってなかったな。
それ以前に最近あまり話もしてないけど‥

曖昧な返事の私を励ますように先輩が言った




『良かったね！
これで夏油さんの秘書から外してもらえるね』



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