30・まぎれもなく ページ30
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嫉妬?
わたしが?
私の早とちりで自ら墓穴を掘ってしまったと気づいたが最後、あまりの恥ずかしさに顔から火が出た。きっと出てる、だって今耳までめちゃくちゃ熱いんだもん‥
こんな時こそいつものようにからかってくれたらいいのに、目の前の男は獲物を見据える獣のように、射るような視線を送って離さない
『教えてよ、A』
「〜っっ」
ふわりと重ねられた大きな掌にドキッと心臓が跳ねる
『誰とも比べてないよ、わたしが見ているのはきみだけだ』
冗談言わないでください!‥なんて言える空気でない事だけはわかって
こんなタイミングでそんな事言われたら
わたし‥‥‥
つくづく恋愛経験の乏しい自分が情けない。
じぃっと見つめてくる視線に、今自分が思っていること全てが伝わってしまいそうで
「っ家入さんに用事があったのを思い出しました!先に戻ってます!」
とその場から逃げる事しか出来なかった。
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走って走って、この胸のドキドキは運動のせいだと思いたかったけど出来なかった
私のあれは、まぎれもない嫉妬だった
スマートな彼の事だ。
お洒落なお店なんてたくさん知っていて、エスコートもスマートで、ホイップが乗ったフラペチーノを飲む女の子に優しく微笑んで‥‥
そこまで考えて、遂に限界が来た私は息を切らしながらそこで立ち止まった
(わたし、夏油さんのこと‥‥)
いつからかなんてわからない。でも夏油さんから感じる見知らぬ女の子の存在に嫉妬している自分がいて。その子達と重ねられている事がどうしようもなく嫌で
(好きになってるじゃん‥‥)
でもそれと同時に、この報われそうもない想いに気づかれてはいけないと思った
(どうしたらいいの‥、これ)
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執務室に戻るとすぐに夏油さんも戻ってきて
『逃げたかと思ったのに‥ちゃんとここに戻ってきて、偉いね』
用事は?大丈夫なの?と聞かれ、あの時慌ててついた嘘を思い出す。あの、そのっ、と狼狽えていると
『ほんと、君は見ていて飽きないな』
クスクス笑いながら私を見ていて。
たったそれだけなのに胸がキュウとなった。
その時コンコンとノックの音。入って来たのは社長で
『傑、急で悪んだが今から出張行けるか?
青山さんも同行頼んだぞ』
『「えっ!?」』
初めての出張は、私にとって最悪なタイミングで決まったのだった
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すみっことかげ(プロフ) - 歯磨き子さん» コメントありがとうございます!嬉しいです☆お、ここにも夏油さん推しがいらっしゃいましたか!!かっこいいですよねぇ本当! (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き子 - キュンキュンしすぎて・・・ありがとうございます。夏油推しには最高です、夏油様どこにいるんでしょうか() (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 0d41b786f3 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - こんぶさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんばりに驚いてもらえましたかね?面白いと言ってくださり嬉しいです!何故こんなおかしな事になってるのか、次話で明らかになるのでお楽しみに!! (2021年9月26日 7時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶ - NYの新事実に目玉が飛び出る所でしたw私もニューヨークだと思っていたので。本当に面白いです(*^^*) (2021年9月26日 3時) (レス) @page44 id: 7f18273dc2 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - しゅーくりーむさん» コメントありがとうございます!わあ!そう言っていただけて嬉しすぎます!夏油さんかっこいいですよね、やばいですよね。理想を崩さないように頑張って書きますね!! (2021年9月23日 8時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみっことかげ | 作成日時:2021年8月12日 16時