融ける弾丸【文豪ストレイドッグス】

プロローグ ページ2

俺に、弟以外の家族は居ない。

母親は通り魔に刺されて死んだ。
政府高官だった父親は俺が成人して暫くして暗殺された。

こうして2人っきりとなった俺たちは二人で助け合いながら生きていくこととなった。
その過程で、お互いがお互いの事を大切に思い過ぎるあまり、互いに軽い束縛をしてしまったのは仕方ないとしか言いようが無いだろう。
人間、縋るものが無かったらすぐ傍にいる人間に縋るのだから。

幸い、俺も弟も学費については一切心配しなくとも良かった。

たとえば、俺など国内最高峰の大学に無償の奨学金で首席入学し、またその教育学部をバイトで日夜奔走していたにも関わらず首席卒業し…。
弟も高校生であるが、学年首席は誰にも譲らない。

まあ頭はいい。

まあそんなこんなで、少しばかり貧しいながらも幸せに暮らしていた俺たちを妬んだ人間はその幸せを壊すことにしたらしい。

…悪意に対処する術は無い。

結果、弟は季節を売らされ、俺自身は暗殺者として扱き使われる事となった。

苛苛してしまう程にその悪意は俺たちの幸せをいとも容易く壊してしまった。

その経過については口にするのも躊躇う程のものだったので此処で書き記すのは辞めておく。

まあ兎に角、実弾を撃つ毎日である。


願わくば。いつか己に其れが撃ち込まれることを。

飴玉が1つ→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す