後輩が俺に惚れない【五条悟】

#43 ページ45

五条「お前もわかってんだろ
自分のせいじゃないことくらい

だから逆に責任感じてんだ」





呪霊をよく知る高専関係者にも

誰のせいにもできないから



姉が死んだことを

自分以外の誰のせいにもできなくて


自分を恨むしかないから





『………私には…何もできないんですか』



五条「…さあな

どんなことしたって
どんな言葉かけたって

結局自分をどう思うかは自分次第だ

何とも言えねえよ」





そいつの拳が視界の端でかたく握られる


酷かもしれないけど、これが現実だった



空気の重さにいたたまれなくなって

俺はガシガシと頭をかく





五条「…ムカつくけど
救えねえ命ならこれからだって現れるよ

物理的にも、精神的にも。

けど…どう足掻いたって全部は救えねえ
全部救えたらそりゃもう神だ

…俺だって、誰だって、神にはなれねえ」



『…っ、それは…救えない命もあるって
諦めろってことですか』



五条「違う

救えなかった命数えるより
これから救う命数えろってことだ」



『！』





俺にも救えなかった命なんてたくさんある


喋り方変な生意気なガキとか

そのガキをすげえ大事にしてた人とか


俺が歩いてきた道には

確かに生きていた人間の屍が転がってる




だけどそれをふり返って、全部数えて

嘆いてる暇なんてない





五条「お前俺に言ったよな
強くなるって

救えなかった命ばっか数えて嘆いてたら強くなんてなれねえんだよ」



『！』



五条「これから先、誰かが命を落としたとき

後悔ならいくらだってしていいよ

していいけど、
それを引きずって後ろばっかみるな



過ちも後悔も、最後には受け入れろ

そんで前みて歩け



…零れた命を忘れろって言ってるわけじゃない

寧ろ忘れんな



その命は

お前がこの先を歩く原動力にするんだ」



『…っ』





そいつは大きく目を見開いて

しばらくそのまま動かなかった



かと思えば





五条「！？、ちょ、何で泣く！？」



『ぇ、ぁ…』



五条「俺が泣かしたみてえだろやめろ！！
いや俺が泣かしたのか！？

俺怒ってるわけじゃねえし責めてるわけでもねえよ！？」



『ちが…そうじゃ…なくて
すみません…っ、すみませ…』



五条「イヤアヤマラレテモ…！！！」





わかんねえ！！！

こいつが心底わかんねえ！！！



誰か…とりあえず…

オトメゴコロ？？わかりそうな誰か呼んで…！





五条「すっ…、ｽｸﾞﾙｰｰｰｰ!!!!!!」

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