うそつきとキス

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「そういえば最近見学とか来ないよなぁ、Aちゃん」
気付くと背後に阿部の姿。

「うっわ、びっくりした。気配消すなよ」

消してないよ、と笑う阿部の表情はどこか黒い。


「俺も久々に会いたいなぁ〜翔太今度招待しろよ」

「俺も俺も！」


いつの間にかそこには照と涼太もいて、口々に好き勝手なことを言っている。
あぁ本当にこいつらに話がいくとどんどんと大きくなっていって嫌になる。





いつものように楽屋が騒がしくなってきたところで俺は端っこの席にそそくさと移動。
次の撮影までまだ時間はありそうだから少し休もう。
隣にいためめの方を見ると俺の言いたいことを察したのか「時間来たら起こしますよ」と声をかけられた。
これで安心して休める。俺は壁に身体を預けそっと目を閉じた。



目を閉じてウトウトし出した頃、「翔太！」というふっかの声に起こされた。
なんだよ、気持ちよく寝てたところだったのに、と文句のひとつでも言ってやろうかと思ったが寝起きでそこまで頭が回らない。


「な、に」
やっと出た声は自分でもびっくりするくらいに掠れていた。


「今日この後の仕事バラシになったってよー」


へぇバラシか、そうか、そうか。
回らない頭でバラシの言葉だけがぐるぐるする。


「この撮影ももーちょいで終わるらしいし、17時過ぎにはあがれるんじゃね？」

「17時、過ぎ」




バラシ、17時過ぎ、、、

「あっ！」



働かない頭の中でピコンとひとつ点と点が繋がった瞬間、一気に眠気が醒めた。
その勢いで立ち上がったせいで、座っていた椅子がガタン、と大きな音を立てて倒れた。




「っ、びっくりした・・・」

隣に座って音楽を聴いていためめが驚いた顔をこちらに向けた。
ごめん、ごめん、と慌てて椅子を直すと繋がった点を確実にするためにスマホを取り出す。







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