うそつきとキス

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待ち合わせ場所に近づくと、すぐにAの姿を見つけた。


「A、」
声をかけると、Aがこちらに顔を向ける。そしてすぐに笑顔に変わる。



「おつかれさま」

そう言って俺の手をそっと握るAに「うしろ」とだけ伝える。
Aは俺の後ろにいる5人に視線を向ける。





「ふっかと照くん！それに舘様も！」

俺を見つけたときよりもっと明るい表情になったAになんだか妬けてくる。
俺にもその顔見せてくれよ、




「久しぶり」

「元気してた？」

ふっかも照も涼太も付き合い始めた頃から俺たちのことを知っている。
どういう経緯で俺とAが知り合ったのか、ここまでどんなことがあったのかも。



「最近見に来てくれないから、ふっか寂しい」

「うっわ、ふっかそういうキャラ？」

あはは、とAが笑えば、照が「みんなA来るの待ってるよ」と言う。

「照くんまたおっきくなったね？」

「そーだろ、また身体触ってねん」



分かっちゃいるけどその会話まずくないですか？
端から聞いてたらやばい会話だぞお前ら。
感情を出さないようにしてるけれど、それはどうにも駄々洩れなようで。



「Aちゃん、翔太がもう限界っぽい」

見かねた涼太がそう声をかけると、Aはいたずらに笑った。



「しょーたくんすぐ拗ねるから」


そう言って俺の頭を帽子越しに撫でた。布越しに伝わるAの少し冷たい体温が心地いい。

Aはいつだって俺の気持ちを見透かす。
だから俺もついついそれに甘えてしまうのだけれど。







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