うそつきとキス

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仕事がすべて終わったのは、23時過ぎ。

デビューが決まってからは有難いことに色々なメディアから声をかけてもらい、忙しい日々が続く。
これがデビューしたらもっと忙しくなるのか。
嬉しい反面、Aさんと会える時間がこれまで以上に少なくなってしまうのかな、なんてことを考えると寂しくもなる。


蓮仕事今終わった。これから行く
Aお疲れさま。待ってるね



待ってるね、の文字だけでこんなに胸が騒ぐなんて。

メンバーに別れを告げ、タクシーに乗り込む。
信号で止まるたび、早くしろよ、なんて心の中で悪態をつくくらいには早くAさんに会いたくて余裕がない。



多分、あの人は俺がこんなに思っていることを知らない。
そしてこれからも知ることはないだろう。







Aさんの家につき、インターホンを鳴らすとすぐにオートロックが解除された。

俺だってわかってるからいいものをこんな簡単に開けて不用心だな、なんて年上のその人に思う。
それだけ俺を信用してくれているってことでもあるのだろうけど、少し心配にもなる。
すぐにエレベーターに乗り込むと、何度も押した数字のボタンを押した。








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