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ひの屋に戻ると、



「A、久々じゃの」



「会いたかったぜよー!!」



土佐弁の二人が、席に座っていた。
坂本は立ち上がり、Aを抱き締める。
でれでれと溶けそうなくらいに緩んだ顔を擦り付け、ぐいぐいと押し込められるAは少しだけ迷惑そうな顔をしていた。

Aは陸奥達の隣に座る。


「A、良かったじゃない。坂本さんが会いにきてくれて」


日輪は晴太に押されながらやってきて、ことんと茶を置いた。
そして、お邪魔しないようにするわ、と微笑み、他の客のところへ行った。



「坂本さんは置いといて、お姉ちゃん凄く久々だね」



「おい置いとくなあ!」



「そうじゃのう。こいつの尻拭いをしよったきぃ、忙しかったきに」



そう言って、陸奥は団子を口に放り込んだ。
陸奥は何気ない口ぶりで、





「そう言えば、A。やっとこの馬鹿と結ばれたとかなんとか、この馬鹿から聞いたぜよ」





と淡々と話す。
急な事に、口に頬張っていた団子を喉に詰める。
それを見かねて、坂本はAは茶を手渡し、子供をあやすかのように飲ませた。
Aは一気に飲み干し、しれっとしている陸奥の顔を見る。



「むむ結ばれたというか何というか…オッケーしたというか」



「おまんが坂本に惚れちゅうことは、前から分かっとったし止める気もなかった。わしが言うのもなんじゃが、この男と付き合うとろくな事ないぜよ」



「陸奥ぅ!!わしらはなあ付き合うやのうて、突き合ってもい」



余計なことを言おうとする坂本に、陸奥の拳が飛ぶ。



「またいらしてね」



客の一人が席を立ち、日輪は皿を片付ける。
日輪は賑やかなA達の様子をちらりと見た。
そこでAの異変に気づき、近づく。



「A…?アンタ、大丈夫かい…?」



だらだらと流れる冷たい汗と反対に赤く染まる頬。
何かに耐えようと、歯を食いしばっていて。



「…ほんと、最悪」



「えっ…?」



「月詠さん、今出て行った人を捕まえてください」



息絶え絶えに言うAに、月詠は直ぐに駆け寄る。



「A!どうした?!」



「今の、人…土方さん達に頼まれた、薬の犯人だと、思います。早く、捕まえて」



その言葉を聞き、月詠は勢いよく店を飛び出した。

今にでも倒れてしまいそうなAを坂本は抱き抱える。
陸奥が、



「A?!」



と慌てて近づけば、



「お姉ちゃんは来ないで!!!」



とAは目を潤ませて、陸奥を拒んだ。

.

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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時

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