七十七. 女と酒には気をつけろ編 ページ2
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「今後暫く、私に触れないで下さい」
「そんな殺生なあ」
足に泣いて縋り付く坂本に、Aは蹴りを入れていた。
本気で腹を立てたような顔で、坂本を見下ろしていた。
陸奥はそんな坂本を力ずくで剥がし、
「坂本、仕事じゃ」
「そんなぁあ〜…A〜」
「そんじゃの、A」
坂本を仕事へと連れ出した。
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「で?なんで、お前ここにいる訳」
「二日酔いが酷いのと、色々あって帰りたくないんですよ」
「うちはAの我が家じゃないんだけど」
「万事屋でしょう〜助け、うわきた」
吐き気を催すAは厠へと駆け込んだ。
それを追いかけるようにして、神楽はAについていき、背中を摩っていた。
「銀さん、どうすんですかあ。Aさんがあんな感じなの僕初めて見ましたけど」
「知らねえよ。酒は飲んでも飲まれるなってことだろ」
「いや、アンタに言われたくないでしょ」
銀時は頭をぽりぽりと掻いた後に、鼻を穿った。
そんな時、御免くださいと聞きなれた声。
玄関に向かえば、お妙の姿。
厠から聞こえてくる嗚咽に、あらあらと目を細めた。
「月詠さんのとこにいないと思ったら、やっぱりここにいたのね」
「やっぱりって。姉上、何か知ってるんですか」
「それはもう。いい飲みっぷりだったわよ」
お妙は楽しそうに微笑んだ。
水道の蛇口を捻り、グラスに水を入れ、半ば無理矢理Aの口に注ぐ。
「お前んとこの店でってことは……辰馬か」
そゆこと、とお妙が片目を閉じると同時に、銀時は溜息をついた。
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吐き疲れたのか、倒れるようにしてAは眠ってしまい、その身体を和室に寝かせて置いた。
「ったくいい大人が…」
「銀ちゃんに言われたくないと思うネ」
「で、なんであんななるまで飲んだ訳?」
銀時の尋ねに、お妙は口を開く。
「坂本さん、相変わらずうちを利用してて。それはいいんだけど、昨夜は陸奥さんとAちゃんを連れて来てて」
はあと溜息をつき、頬に手を当てる。
「まあ相変わらずおりょうちゃーんって懲りずに。…その状況をAちゃんが見たら、ねえ?」
お妙の促す声に、同調するように銀時達も溜息をついた。
「全く…もっさん何やってるアルか」
(だから、俺にしとけばよかったものの)
一度諦めた気持ちが呆れと怒りの気持ちに変わっていくのを、銀時は感じていた。
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Nattu(プロフ) - connyさん» connyサン!再度コメントありがとうございます。嬉しいです^^いつの間にか4作目で、私自身いつ終わるんだろこれ…状態なので何シーズン続くか未定です笑 これからも温かく見守っていただけると幸いです* 長きに渡るこの作品を読んで下さり誠にありがとうございます (2021年3月3日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - シリーズ4個目…本当にすごいです…!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 712cd20bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2021年2月25日 21時