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「珍しい気配がしたから来たんだけど、ニアミスってとこかな♥」
「……ずっとそこにいたって、きみの前じゃやらないからね」
「うーん残念♠ まあ、キミが珍しく落ち込んでいるからっていうのもあるんだけどね?」
「……珍しく?」
Aは目を伏せて考え込んだ。
「……そう言えるほど長い付き合いだっけ?」
「細かいことはいいじゃないか♣ ボクでよければ話聞くよ?」
「絶対にアドバイスしてくれなそうなところ、逆に適任かも……」
「今こっそりボクのことけなしたね?」
「これは独り言なんだけど」
「無視しないで♦」
無視した。
「……イルミの言うことは、正しい。ターゲットに余計な情が湧くようじゃ困るからね。でもそれは、裏を返せば彼らが情を持ちうる、ということでもある。……彼らも、人間だから」
ヒソカはトランプを弄んでいる。多分聞いていない。
それでよかった。Aは明るく楽しく、少しとぼけた風に振る舞うのは得意だが、こうやって自分をじっと見つめて、あまつさえそれを言語化するのは勝手がわからない。
「ゾルディック家の誰一人として、熱を持たない闇人形なんかじゃない。そう生まれてもいないし、作られてもいないし、そう生きるようには出来ていない」
「キミを除いて?」
「そう、わたしを除いて……って、なに」
一瞬で距離を詰めたヒソカが手を伸ばしてくる。害意がないので反応し損ね、ぐっと腕を取られた。
「ちゃんと温かいけど♥」
無言で蹴った。
これが親密さの表れに見えた人がいたら眼科に行った方がいい。
奴が掴んだのは左腕。まだ折れたままの左腕だ。痛い。
「……ああ、もう、だから、イルミに対してはあれは言い過ぎだと思ってるし、キルアに対しては動揺しすぎだと思ってるわけ。友達がいても人は殺せるし、依頼くらい選べばいいんだから!」
「結論が出たみたいで何より♠ スッキリした?」
「まあね、きみはわたしを痛めつけただけだけどね」
「お礼なんかいらないよ♣ 本調子じゃないイタチ、見てて気持ち悪かったから♦」
「図に乗らないでくれます?」
「じゃあお客さん来たみたいだしボクは行くね♥」
ヒソカは話を聞かないとなったらとことん聞かない。Aは反論も馬鹿らしく道化師を見送った。
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海野(プロフ) - sakuさん» そのとおりですね。指摘ありがとうございます、記述を訂正しました。 (2019年4月9日 8時) (レス) id: 542ac62a81 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - すみません。ページ12で『白日の詐欺師』にも隠は効くっていうの、そもそもの能力発動条件をクリア出来てないんじゃないでしょうか?纏以外使えないという条件でしたよね?間違ってたらすみません! (2019年4月7日 12時) (レス) id: 7af2b9ccfb (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - sakuさん» コメントありがとうございます。心外ピエロの作者と個人的に交流があるのですが、sakuさんがどちらにもコメントをくださっていてびっくりだねという話をちょうどしておりました。いいですよね。続編も続けられるよう頑張ります! (2019年2月3日 8時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 心外ピエロ私もよんでるんですが…いいですよね!あと、更新お疲れ様です。相変わらずとても面白かったです。 (2019年2月2日 22時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - 操菜 荘椏さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年2月2日 19時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海野 | 作成日時:2019年1月16日 13時