【H×H】ゾルディック家長女（偽）の道行

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またか、と思われるかもしれないが、Aは暇だった。

彼女の獲物(ターゲット)は65番でも208番でもなく、362番だ。要はどうあってもあと一枚狩らねばならない。

……のだが、なぜか早々に197番のプレートが空から――間違いなく空からだった、ぶん投げたのはどこの誰だ――が降ってきたため、Aは六点の持ち点をゲット。

一生懸命362番を探すモチベーションもなく、さらには皆なかなか上手く隠れていて見つけるのに神経を削りそうだったので、彼女は開始二日目にして狩猟(ハント)を自主終了した。

Aは殺人が好きだし、獲物は弱くても全く構わないけれど、相手と場所は選ぶ。あまり羽目を外しすぎても合格者が減りそうで、それは何となく多方面に忍びない。
あまり期間が空きすぎると不安になるだけで、血に飢えているわけではないのだ。

そんなわけで、繰り返すがAは暇だった。

見張りを撒いて念の鍛練をしてみたり、全島マラソンタイムアタックをしてみたり、隣の小島に行ってみたり、妙に盛ったヒソカに追いかけられたり、まあトリックタワーに比べればやることがあったほうかもしれない。

苦痛にまではならない程度の、のんべんだらりとした退屈を、Aは試験期間中存分にもて余した。

特筆すべきことなどない。一週間はあっさりと過ぎ去った。

――ハンター試験、第四次試験。合格者、十名。

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