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護衛が一斉に身構えた。
Aがはっきりと男を睨む。その苛烈さはゾルディックの名に恥じない。
ただ手元だけが、肉塊を切り刻む作業を淀みなく続けていた。それも苛立ちが映ったように速くなる。
「ここからザバン市まで飛行船で何時間かかるか知ってる？」
丁寧だったAの口調が崩れた。男は動じない――少なくともそう見える。
「半日ほどだな。貴殿は足が速いのだろう？ 構うまい」
「そう！」
ナイフが最後の肉片を切り終わる。がつん、とそこまで巧みに操られていた刃は乱暴な音を立てた。
「もし本当に依頼をする気があるのなら、そんな無茶な条件はやめておくことだね！」
「が――」
次の瞬間、銀の煌めきが男の額に突き刺さっていた。
「何をす――」
護衛たちの叫びも最後まで続かない。
Aが続けて抜き放ったナイフが、頭蓋骨五つを丁寧に貫いたからだ。
Aは座った姿勢から一歩も動いてはいない。ふわ、と舞った銀の癖毛がその背に下りる。
ふう、と息の音が死体の上を通りすぎた。
「ごめんなさい。そんなお客さんはダメダメ。また来世でのご愛顧をお願いします」
でも、とAは目の前を見て嬉しそうに笑った。
「このステーキに免じて、あなたの全財産回収してから依頼は受けてあげようかな。ちょっと懐が寂しくってさ」
フォークを取った左手が食べやすい大きさに切ったステーキ肉を刺す。
「何とかなるのも本当だし。ただむかついただけで。……いただきます」
ぱくりとAは上等なヒレ肉を口に含んだ。
「ん。おいしい晩ごはん。金持ちはやっぱり違うね」
A＝ゾルディック。
殺しを生業として生きるもの。
好きなことは食べること。
「……あ。ターゲット聞く前に殺しちゃった。まいっか」
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海野(プロフ) - sakuさん» そのとおりですね。指摘ありがとうございます、記述を訂正しました。 (2019年4月9日 8時) (
レス) id: 542ac62a81 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - すみません。ページ12で『白日の詐欺師』にも隠は効くっていうの、そもそもの能力発動条件をクリア出来てないんじゃないでしょうか？纏以外使えないという条件でしたよね？間違ってたらすみません！ (2019年4月7日 12時) (レス) id: 7af2b9ccfb (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - sakuさん» コメントありがとうございます。心外ピエロの作者と個人的に交流があるのですが、sakuさんがどちらにもコメントをくださっていてびっくりだねという話をちょうどしておりました。いいですよね。続編も続けられるよう頑張ります！ (2019年2月3日 8時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 心外ピエロ私もよんでるんですが…いいですよね！あと、更新お疲れ様です。相変わらずとても面白かったです。 (2019年2月2日 22時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - 操菜 荘椏さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年2月2日 19時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海野 | 作成日時：2019年1月16日 13時
