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00‐始まりの雨 ページ3
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__夜
時計の針は12を指す。
職場の窓から、三日月の月が、ある女に光を当てる。
それはまるで、劇場のスポットライトのようだった。
『作之助さん』
女はどうやら1人のようだった。
窓の近くに行き、小声で呟いた。
『如何して帰ってこないの?』
それは、実に寂しそうであった。
窓に手とおでこを当てる女。
女は続けて、こう言った。
『"結婚しよう"って……
そう言ってくれたじゃないですか…?』
絞り出すかのように、小さく嘆き、目に涙を浮かべている。
その涙は、瞬きをすると頬へ零れ落ちていく。
涙が零れ落ちていくのと同時に、女もまた身体が崩れ落ちていく。
窓には女の吐息で曇った、白い水蒸気だけしか無かった。
その水蒸気もまた、何時しか消えていった。
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作者名:成 瀬 苺 花 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sari5271/
作成日時:2019年2月13日 17時