最初の報告 ページ37
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神威を送り出してから、私も直ぐに屯所へ向かった。すると、土方さんとばったり出会う。
「おはようございます、副長」
「あァ、Aか。今日も早ェな」
「いえいえ、いつも通りですよ」
此処で土方さんに会えたのは運が良い。
聞ける事は、聞いてしまおう。
「あの、沖田隊長見ていませんか?」
「総悟?そういや見てねェな…昨日もあんまり姿見せなかったし」
「そうですか。じゃあ私、連れ戻してきますね」
悪ィな、という副長の声を背に受けながら、私は屯所を後にする。
今日は昨日と違って傘が入用な晴天。人目に付くのは良くないけれど、どうしても早めに総悟と話しておきたかった。
ーーしばらく歩いて、例の団子屋に着くと、予想通りソイツは居た。
「…サボりすぎ、このドS」
「煩ェ、雌ゴリラ」
もはや挨拶と言っても過言では無い、『余計な一言』。
「…ったく。おばちゃん、みたらし一つ」
「珍しいねィ、社畜の卯月Aがサボりたァ」
おばちゃんに注文して、総悟の隣にどっしり腰を下ろした私に、驚きの声が上がる。総悟の方こそ、こっちが驚くくらいいつも通り。昨日の事なんて、無かったみたい。
「…私、今はちゃんと神威と結婚してる。気持ちの伴わないものじゃない」
「そりゃ良かったな……なんて言うとでも思ってんのかィ」
「思ってない。総悟だし」
だいたい、わざわざ伝える必要も無いのかもしれない。更に傷付けてしまうだけかもしれない。
「けど、一番最初に伝えるのは、総悟が良いと思ったから」
今まで、私は気が付かなかったけれど、陰ながら見守り、苦悩してくれていた総悟に。もうひっそりと悩まないで欲しいから。
朝だからか、どこか温度の低い会話。総悟は気だるげに、口角を上げる。
「…そうかィ。ま、こうなった以上、とことんテメェらで遊んでやるつもりだ」
「…?」
「むやみに情報与えたら、自分の首締めるだけだぜィ」
「は?はァァァ!?」
そして、まだ私は団子を食べているというのに、放置して立ち上がってしまう。まさか代金を払わない気か。
それに一応本来の目的はサボりから連れ戻す事なのに。
「ちょっと!!!これ食べたら屯所戻るつもりなんですけどォォォ!」
私の叫びなんてまるで聞こえていないかのように、総悟はそのまま歩いて行った。
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頑張ってください - ああああああああ久々に読んだら進んでてまた神威熱が… (2020年1月6日 1時) (レス) id: ac6d87c707 (このIDを非表示/違反報告)
自己満者 - 京篇凄い良くて、泣いちゃいました(笑)更新頑張って下さい! (2019年8月17日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - むくさん» コメントありがとうございます。時間をかけて丁寧に書いたシーンなのでそう言っていただけるととても光栄です!これからもよろしくお願い致します。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 765bdcb728 (このIDを非表示/違反報告)
むく(プロフ) - 求婚シーンめっちゃ好きです〜!! (2019年5月25日 23時) (レス) id: 3bb4d6b7d5 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 匿名さん» 初めまして!そう言っていただけてとても嬉しいです。神威くんのイケメン台詞は割と心の声の方が潜んでいたりします笑これからもよろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2019年4月29日 20時) (レス) id: d60993068d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2019年1月8日 17時