6話 ページ6
「今日なんにする?夜」
「え?俺が選んでええん?」
「ええよ、アタシ養ってもらう身なんやし」
なんでも好きなん言ってや、と言うと、グラタンやらカレーやら沢山の食べ物が宮の口から飛び出してくる。マジか、全部食べるつもりなんかな。
別にええけど。料理作るん好きやし。
まぁ社会人やってたときは忙しすぎて料理作られへんかったからちょっと楽しみ。意外と作れるんやで。
せやけどめっちゃ材料いるで?ええん?お金。
そう聞くと俺の腹に入るからな、とカレーのルーを選びながら言ってる。って言うか、どうでもええ感じやな、これは。ルーの方が大事らしい。
まあええか、とニンジンを選ぶ。
「重たいわぁ」
「これ貸してみ」
「宮もう二袋持ってるやん」
「ええから」
アタシから一袋を奪った宮は鼻歌を唄いながら歩いている。
めっちゃ楽しみにしてくれてるんかな…せやったら結構嬉しいかもしれへん。
家に帰ってまず手を洗っていると、俺も洗う、と横入りする。
せっま!狭いわ、何この巨体。肩幅広すぎてアタシの場所30cmくらいしかないやん。
狭いねん!と言いながら場所を取り合う。ここは幼稚園ですか?
「テキトーにしといて。出来たら呼ぶわ」
「おん」
そのあとは結構忙しなく動いて7時にようやく終わった。
動き回って7時に終わるってどー言うことやねんと思ったけどまぁええか。
ベッドは組み立てたしアタシが住む準備は万端や。
「召し上がれ」
「いただきます」
暫く頬張っていたかと思えば、口いっぱい入れていた物全部飲み込んでからキラキラした目でアタシを見てくる。
なんや、かわええなぁ。
米粒付いとるで、と言ってティッシュを差し出すと、黙って受け取って口を拭いていた。
なんや、既視感。あぁ、そうや、近所で昔飼われとったゴールデンレトリーバーにめっちゃ似とる気がする。
全然取れてへん米粒も、いつもあのわんこがお代わりせがむときの口の周りの餌ついとるんと似てるし…。
アタシは笑って全然やん、と宮の口に手を持って行った。米粒を取ると、キョトンとした顔をする。
「あ、ごめんパーソナルスペース狭いよな」
「え?そーか?」
「せや、あんたらの方が狭かったわ」
元からパーソナルスペース狭い方のアタシが気にせんとやることも、勘違いされて受け取られる場合があるん忘れとった。でもよお考えたら宮達の方が狭いわ。
何度心臓止められかけたか、数えきれへんでホンマに。
「なぁ」
「ん?」
「やっぱお前のメシいっちゃん美味いわ」
…何それ、わんこはそんなこと言えへんし。不覚にもドキッとした。
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松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!!最近私生活も落ち着いてきたので、今日更新予定です! (8月5日 17時) (レス) id: 480ed93775 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 久しぶりにこの神作品開いたけどやっぱり神作!!主様のペースでゆっくり更新続けて欲しい!!まぢ応援してます!無理は禁物!! (7月31日 11時) (レス) @page45 id: 7e78e362e0 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 雷さん» 大丈夫です。ありがとうございます頑張ります! (2022年8月12日 10時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 松々先輩『ありがとうございます頑張ります』が癖になってますけど大丈夫ですか? (2022年8月12日 10時) (レス) @page5 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!頑張ります (2022年8月7日 0時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
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