43話 ページ43
重たい空気の中、先に口を開いたんは宮やった。
「…俺、同情なんかでAと付き合うた覚えない」
そう言った宮は下唇を噛んで、アタシから目を逸らす。
…同情で、付き合ってへん？
次に驚いたんはアタシやった。
まさか宮が優しすぎるせいでアタシと付き合っとるんやないとは思わへんかったわ。
…せやったら、アタシのこと好きで付き合ってんの？
「…同情で付き合っとるんやったら、襲ったりせんわ」
そう言って頬を膨らませる宮がかなり幼く見えて、フフ、と小さく笑い声を漏らす。
高校の時もおんなじ顔したなぁ、自分。
いつやったっけ…あぁそうや、アタシがバスケ部の部長と付き合った時や。
「何わろてんねん」
「いや、あんたなんも変わってへんなぁ、と思てん」
「…Aも、昔から変わらへんな」
そう言って笑った宮は、アタシの髪を愛おしそうに撫でる。
それがやけに小っ恥ずかしくて、目を伏せた。
すると、アタシがさっきまで人生で一番頭を使いながら悩んでいたことが、ちっぽけでしょーもないことに思えてくる。
…なんや、同情で付き合っとるわけやなかったんやな。
「よかった…」
「？なにが？」
「こっちの話や」
不思議そうな顔をした宮の頭を撫でる。
なぁ、おもろいなアタシら。
こんな状況で初めて恋人っぽいことしとる。
そう言えば、まだ謎は解けてへんねんなぁ。
「ところであの子誰やったん？」
「…キスしてへん。あの子はよくしてもらっとるお弁当屋さんの娘さん」
「なんや…心配して損したわ」
ほっと胸を撫で下ろすと、お前浮気疑っとったんか、と眉をひそめる。
しゃーないやん、関係性変わってへんかったし。
「ほな俺からも言わせてもらうけどな」
「なんや」
「お前、よぉスマホで男と喋っとるみたいやけど、あれ誰やねん」
……あぁ、アレか。
「スナやろ、それ」
「え」
答えを言うと、宮は気まずそうに目を逸らした。
まさか、嫉妬して襲ってきたんってスナとの長電話が原因？かわええとこあるやん。
堪えきれずに笑っていると、うるさいな、と呟いた宮は、アタシの頬を撫でてそのまま唇を重ねた。
アタシもそれに応えるみたいに目を瞑る。
なぁ、おかしな話やで。ファーストキスがこんな形とか、昔夢見てたアタシに教えてあげたいわ。
レモン味ちゃうかったな。
「…ふふ、好きやで、宮が、一番」
「…かわええこと言ってんなや、襲うぞ」
「それは勘弁」
そう言って顔を見合わせたアタシたちは、お互い溢れるように笑みを漏らした。
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松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！！最近私生活も落ち着いてきたので、今日更新予定です！ (8月5日 17時) (
レス) id: 480ed93775 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 久しぶりにこの神作品開いたけどやっぱり神作!!主様のペースでゆっくり更新続けて欲しい!!まぢ応援してます!無理は禁物!! (7月31日 11時) (レス) @page45 id: 7e78e362e0 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 雷さん» 大丈夫です。ありがとうございます頑張ります！ (2022年8月12日 10時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 松々先輩『ありがとうございます頑張ります』が癖になってますけど大丈夫ですか？ (2022年8月12日 10時) (レス) @page5 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！頑張ります (2022年8月7日 0時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
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