42話 ページ42
固く締め上げられた手首に痛みを感じて顔を歪めるアタシにお構いなしに、宮はどんどん進めていく。
胸までたくし上げられた服も、それでひんやりとした空気を感じる肌も、全部怖くてギュッと目を瞑った。
こんなん宮ちゃう。アタシの知っとる宮は、アタシのことこんな乱暴に扱わへん。
腕を離してもらえたかと思えば、覆い被さってきて肩を押しても胸を押してもびくともせん。
パチンと下着のホックが外れる。
怖さと虚しさでジワリと涙が滲んで、それにギョッと目を見開いた宮のショートパンツをずり下ろす腕がピタリと止まった。
「何泣いとるん」
「っ、怖、いッ…」
「…ッあー…」
やってもーた…とアタシのお腹に頭を抱えながら顔を擦り付ける宮を見る。
涙はまだ止まらんけど、ちょっとは冷静になった頭で宮の言うことを噛み砕いた。
……いや、わからん。なんやねん急に。なんか腹立ってきたわ。
でもそんな威勢のいいことは言われへんくて、口から出てくるんは不安そうなか細い声。
「…宮？」
「……ホンマにごめん」
顔を上げた宮と目が合う。
さっきまでの怒気を含んだ目やなくて、ちょっと心配そうで、申し訳なさそうな顔。
腕を立ててアタシを見下ろす宮に、さっきまでの圧力は感じへんかった。ただ、なんか悲しそう…？と言うか…。
「俺、焦っとって…Aに酷いことしてもーた。すまん」
嫌やったやろ、と言った宮はそっと、壊れ物を扱うみたいにアタシの頬を撫でる。
そんな優しい手も、ジッとこっちを見つめる目も、何日ぶりに見たやろ。
…アタシが、避けてたんやもん、そら見られへんわ。
「アタシこそ、ごめん」
「…Aが謝ることないやん」
「ちゃうねん。宮、アタシに避けられてるって思ってたやろ。あれ、ホンマに避けててん」
なんで、と苦しそうな顔をする宮に声を被せる。
「…この前、見てもーたんや。駅前で、可愛い女の子とキスしてるん」
アタシだってキスしたことないのに。
なんで、あの子とはキスするんよ。
アタシと付き合っとるんちゃうん？
いろんな言葉が頭に浮かんだけど、今はそれを言う時とちゃうことくらいアタシにはわかる。
「ちゃんと、話すべきやったよな。勝手に避けてごめん」
でもな、アタシにも言い訳させて欲しいねん。
宮、ホンマにアタシのこと好きで付き合ってんの？付き合った時を覚えてへんから、アタシ宮からどう思われてるんかわからへん。
「もし、同情で付き合っとるんやったら、別にそんなんいらんから」
そう言うと、宮はジッと黙ってアタシを見つめた。
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松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！！最近私生活も落ち着いてきたので、今日更新予定です！ (8月5日 17時) (
レス) id: 480ed93775 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 久しぶりにこの神作品開いたけどやっぱり神作!!主様のペースでゆっくり更新続けて欲しい!!まぢ応援してます!無理は禁物!! (7月31日 11時) (レス) @page45 id: 7e78e362e0 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 雷さん» 大丈夫です。ありがとうございます頑張ります！ (2022年8月12日 10時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 松々先輩『ありがとうございます頑張ります』が癖になってますけど大丈夫ですか？ (2022年8月12日 10時) (レス) @page5 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！頑張ります (2022年8月7日 0時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
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