養ってください。【宮治】

5話 ページ5

「こことかええんちゃう？」
「アタシどこでもええで、宮の好きなん食べ」
「ホンマに？」


またキラキラした。

宮が選んだんは高校生カップルが頻繁に使ってそうなファミレス。大人の事情で名前は出せへんけど、結構有名よな。

少し並んでいたので、名前を書く欄に自分の苗字を書こうとしたら宮にペン取られた。


「なんなん」
「俺が書くし」
「子供か」

なんでも書きたがる時期通るよな、みんな。
宮はまだそこから脱出できてへんのかな？

椅子に座って待ってると、やっぱりコソコソ噂になっているのに気づく。足長いもんな、アタシと縮尺ちゃうで。
横に座ってんのなんとなく恥ずかしいもんな。アタシなんもしてへんのに。もしかしたら前世でなんかやらかしたんかも知れんけど。


えー、なにやらかしたんかな…都市1つくらいぶっ壊したんやろか。じゃないとこんな仕打ちにはならんよな…。

「宮様〜」
「お、順番やで」


当然の様に“宮”で通されたアタシを見てみんながアタシ達を夫婦だと思っていることが視線でわかった。
夫婦やないんです…ただ同じ部活やった仲なんです…今はご主人様と下僕的な関係やけど。

頭の中で大嘘を吐きながらメニューを見ていると、俺コレとコレ、と恐ろしいことを言い放つ。

え、二つも食べるん…？

「あー、でもオムライスも食べたいな…」
「嘘やん、めっちゃ食べるな」
「体育会系やからな」
「元な、元。じゃあアタシオムライス頼むから、宮アタシからちょっと持って行ったらええやん」
「えっ、いいん？」


……また可愛い顔しとる。

自然と頬が緩んで手で抑える。あかん、騙されんな顔に。
色んなことを駄弁りながら(ほとんどアタシの会社について)ご飯を待ってると、お店の人が笑顔で持ってきてくれた。

めっちゃ美味しそうやん。


「美味そぉ…」
「ふっ…先食べや」
「えっ、ええん？」

一口目が美味しいねんで？ともう一度確かめる様に言う宮に頷く。
別に宮がどんだけ食べようがアタシの一口目はいつもNEWやしな。

ほんじゃあ貰うわ、と美味しそうにオムライスを頬張る宮。そう言えば学生時代も頬張って食べとったな…全然変わってへんやん。
美味しそうやな、と言って食べる宮。


「良かったな」
「ホンマにありがとうな、A」
「そういやなんで宮はアタシのこと名前で呼ぶん？」


そう言えばそうやな、と言った宮は考え込んでいたが、疑問はご飯と一緒に飲み込んだらしく5分後には忘れとった。
いや、忘れんの早ない？鳥頭やん。

ちなみに宮が奢ってくれた理由は、名前宮って書いたからやった。イケメンか。

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