11話 ページ11
「大丈夫？」
「あ、うん」
声かけとっただけや！と言い残して男達は駅の方へ歩いて行った。
「買い出し行くんやったら言っといてや」
「忙しそうやったから…ごめん、今度から誘うわ」
「ホンマに。一目惚れキャッチャーやねんから」
「なんやねんそれ」
見た目で寄ってくる男には大学時代嫌と言うほど会っとるし、もう慣れてるつもりやってんけど…いざやられると全く動かれへん。
貸し、とアタシの持っとった袋全部を奪い取った宮は玄関を開ける。
待たせてごめんやん、と不機嫌オーラを醸し出す宮に言うと、俺の怒っとんはそー言うことちゃう！と言われる。
じゃあなんで怒っとんねん。
「すぐ作るわ、とりあえずそこ置いといて」
「おん。楽しみにしとるで」
「毎日それ言っとるな」
それにしてもあんな古典的なナンパあるか？
そして、ナンパ師のことを思いだすと同時に蘇ってくるんは宮のあの発言。
…“何しとん、俺の女や”って…。
いや、わかっとるで？宮はアタシをナンパから助けるために言ってくれたんやろう。あいつはそー言うやつや。
でも、ブラックすぎて恋愛しとる暇なかったアタシにあの発言はドキドキメーター振り切ってまう。
悶々とそのことを考えながら夕飯もお風呂も歯磨きも過ぎてった。
あかん…頭から離れへん。
ベッドに入ってからもずっとその事が頭をよぎって寝られへん。
気づけば時計は深夜2時を大幅に回っとった。
あかん、寝な。
隣の空っぽのベッドを見て、まだ寝てへんねや、と思った瞬間部屋の扉が開いた。
なんか知らんけど気まずくて、寝たフリをする。
すると、何故かアタシの布団の方がゴソゴソし始めた。
うん？何してんの宮。
混乱はするけど、寝たフリをしてる手前目が開けられない。
頭ん中疑問符飛び交っとる。
「っ…宮？」
やっとの思いで出した声は小さ過ぎて聞こえてへんみたいや。
そうや、ここ前宮の使っとったベッドの位置や。
やばい、こいつ寝惚けとる。
アタシを抱き枕かなんかやと思っとんのか、宮はアタシの腹に手を回して満足げに息を吐く。
そして、上から聞こえる規則正しい寝息。
え？ホンマにゆってる？
冗談やんな？嘘やろ？この状況で寝る？普通。
そういや合宿の時も全然起きてけーへんかったな…と昔を思い出す。
一度寝たら起きん。それが宮の睡眠。
片方はすぐ起きんのに…と溜息を吐く。
でもアタシも考えて疲れたんか、すぐに睡魔が襲ってきてそのまま寝てもーた。
朝起きてから女友達にイケメンと一緒に寝たと自慢しよ、と思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1097人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！！最近私生活も落ち着いてきたので、今日更新予定です！ (8月5日 17時) (
レス) id: 480ed93775 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 久しぶりにこの神作品開いたけどやっぱり神作!!主様のペースでゆっくり更新続けて欲しい!!まぢ応援してます!無理は禁物!! (7月31日 11時) (レス) @page45 id: 7e78e362e0 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 雷さん» 大丈夫です。ありがとうございます頑張ります！ (2022年8月12日 10時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 松々先輩『ありがとうございます頑張ります』が癖になってますけど大丈夫ですか？ (2022年8月12日 10時) (レス) @page5 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！頑張ります (2022年8月7日 0時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
