カラッポ【カラ松】

Twelve episodes ページ14

「いやぁ、毎年のことながらA先生には負けますねぇ…」
「ヤダァ蠧魚(しみ)君。君私より年下でしょ〜？」
「そんなの関係ないくらい素晴らしいですよ、A先生は」

蠧魚君はいつも通り私を褒めてくれる
入りたての頃にリレーをして勝ってからこうなのだ

本当に素晴らしいです…と言う蠧魚君はなぜか涙を流して笑っている
私の今の心境を表すとすれば…卒業式を見守られる生徒のようだ

逆でしょ、と頭の中でツッコミを入れ、自分の席…教員席へと足を向ける
途中、生徒からタオルやら水やらが与えられた



「うわぁ！？え、っと…ありがとうみんな」


大量のタオルをどうすればいいか迷っていると、トト子がじゃあ次私だから、と言って立ち上がった
競技は玉入れ。実に高さは３ｍ

たっけぇ、といつも見上げて思う



「頑張ってトト子！私はトト子が国語だけの先生だなんて思ってないよ！」
「Aは一言余計なのよ！」

玉を構えてこっちを見るトト子はとても可愛い
女子が運動なんてできなくても可愛ければいいのよ←


「トト子ちゃんの番なのか」
「あ、カラ松…」

何気に出番の少ない私の彼氏は今私の横に立っている


「あぁ、いつみてもcuteだな」
「…………そうね」
「？なんだ、honey？俺はhoneyもcuteだと思うぞ？」
「………ねぇ、カラ松…」

なんだ？とこっちを向くカラ松の綺麗な目を見てまたそらす
その目で何を見てきたの？

私は見ることのできない明るい世界だろうな…


「……私のこと、好き？」
「！」


好き？と聞いても、その通りに返ってこない。返ってきた試しがない
いつでも私の望む言葉は言ってくれないのよ、あなたは


「あぁ、愛しているぞ」


ほらね

私は愛していると言う言葉が嫌い
好きが欲しいの、純粋に


カラ松は愛しているとよく言うわ



それでも、好きとは言ってくれない


「えぇ、私も好きよ、カラ松……」

この想いはいつも一方通行で

「Aちゃん！」
「トド松…」
「また、ダメだった？」


トド松の言葉に微笑を浮かべて頷く


このイベントの終わりを告げる声が校庭から聞こえる


雨が降ってきたので途中で中断して帰ることになったのだ



私は今着替えて返ってきたところ
目の前にはまだ着替えていないトド松が立ちふさがっている


「やっぱり、愛してるとしか…」
「……Aちゃん、ごめんね」
「えっ…」

次の瞬間、私はトド松の広い胸に抱きしめられていた

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• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
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