スマホから推しがでてきた【北信介】

2日目 お話し ページ10

「取り敢えず、出入り付近は邪魔やし廊下出て来てくれん？」

硬直している私にそう声をかける北先輩。

『ちょ、ちょっと待ってください』

凄い緊張して右手と右脚が同時に出てしまう。

北先輩は不思議なものを見るような目で此方を見ていた。

いや、まあ不思議だよね手と足一緒に出てるのは。

北先輩はクスリと笑い、

「そんな緊張せんでもええよ」

と言ってくれた。

今普通に笑ったよ、ね…？

「せや、結局渡せなかってん。もう落とさないよう気ぃ付けや」

そう言いICカードを私の手に握らせた。

『はいっ！ありがとうございます！！』

北先輩の前にいると何故か緊張してしまう。

「っふ、ほんま忙しないやつやな」

そう言ってクスクス笑ってる北先輩。

…やっぱ、普通に笑うじゃん。

「…なあ、俺はもう用ないけど。」

そう言って１回言葉を区切る北先輩

私は彼が何を意図してるのか分からくて、

頭のうえに？が浮かんでいる。

「らいん、交換せえへんの？」



『っえ、』

さっきのやつ、やっぱ聞いてたんだ！！

顔に熱が集まってくのが自分でもわかる。

『あ、じゃあ、お願いしゃす…』

そう言ってスマホを取り出す。

「おん、ふるふるでええ？」

ふるふる！北先輩が言うとなんだか可愛く聞こえる。

『はい、なんでも平気です』

顔が赤いのはもう放っといて、

せめて態度だけでも平静なふりをしたい。

北先輩はらいんを交換し終わると、

「顔真っ赤やけど、大丈夫なん？」

と心配してくれた。

『はへ、へへ平気ですっ！』

首をブンブン横に振ると、北先輩に落ち着けと言われた。

「熱あるんやったらはよ帰った方がええで」

ちがう！！そうじゃなくて…！

そう思ってたら、北先輩は私のおでこに手を出した。

『ひぇっ、ききき北先輩』

「熱は無いようやけどな」

天然なのか、分かっていないのか。

私は北先輩には強く出れないのに。

だって、顔推しににてるし、先輩だし

『き、北先輩のせいですよ…』

ボソリと呟いた。

「？なんか言ったか？」

まあ、そんな都合よく聞こえてたら困る。

『いえ！北先輩、もうすぐお昼終わっちゃいますよ』

北さんはスマホで時間を確認し、ほんまやと零した。

『そ、それでは…！ほんとにありがとうございました！』

「おん、」

それで解散して、私は覚束無い足取りで戻った。

「A顔真っ赤やねんw」

『あれは、ずるい。』

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