＊リドル ページ18
ボクの知る絵画の彼女は気品に満ち溢れた貴婦人の印象だったから、礼節を欠く行為をされて失望した。
一度注意しただけでは直さず、さらには承知の上でしているのだとも聞いて呆れた。
彼女への印象が180度変わってしまった。
沸々と怒りが湧いてくる。いつもならば違反をする生徒はすぐに首をはねてやるけれど、相手は学園の備品だし傷は付けられない。
人と顔も合わせようとせず隠れて、イデア先輩みたいだな。
…いや、部屋に閉じこもって出てこない彼よりは何倍もマシか。あんな啖呵を切っておきながら入学式にタブレットで参加していた無能な彼と比べるのはよそう。
ようやく手を外させ、怯えた顔の彼女と目が合う。と
彼女に怖くないのかと聞かれた。
ボクが自分を見て怖がるだろうから隠れていた？
この人は、このボクを馬鹿にしているのか…？
顔に熱が集まるのを感じていたが、彼女が涙ぐみながら本当に反省している表情でこれまでの経緯を話し謝っていたからか、いつの間にか収まっていた。
されたことを考えれば、絵画だが女性だし、怖いのも当然か、と思い至った。
ボクは何かされても返り討ちにしてしまえるけれど、彼女は抵抗も仕返しも出来ない。
それで傷心中だったのなら最初の対応も理解は出来る。
…縮こまっている姿を見ていると、なんだか、ハーツラビュルで世話をしているハリネズミたちを思い出してしまった。
女性を動物に例えるのは失礼だとは承知しているけれど、そう見えて仕方がなくなった。
ハリネズミは臆病で警戒心が強くて…
どことなく似ている彼女に罰を与えようという気には到底なれなかった。
『あ、りがとうございます…！』
彼女はそう言って、笑いながら涙を零した。
焦りでどうにかなりそうだった。
怯えているようには見えなかったしむしろ安心した顔をしていたけれど、ご婦人の頬を濡らしてしまったのには変わりない。
うぅ…こんなつもりじゃ…
そうだ、彼女が手を出せないのなら、ハートの女王のボクが代わりに手を下せばいい。
持っているハンカチを手渡してもやれないせめてもの慰め。
まあ、マナー違反をした生徒は元から首をはねてやるつもりだったけれど、彼女の分も加えてより厳しくしないと。
彼女にこの学園で不安を感じることなく過ごしてもらうために。
見苦しい所なんてないのに謝っていた彼女も
最後には堪えるようにくつくつ笑っていたからもう大丈夫だろう。
ラッキーアイテム
ダイヤのキャンディ
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ななし(プロフ) - プリメロンさん» ありがとうございます！そう言ってもらえるとすごく励みになります…！社畜の身なので頻繁に更新することは叶いませんが、これからも息抜きに書いていきたいと思っております (2021年6月8日 17時) (
レス) id: edbe6aadbb (このIDを非表示/違反報告)
プリメロン - ロザリアちゃんが可愛くて大好きです。続きが楽しみです。 (2021年6月8日 13時) (レス) id: b71badc53a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななし | 作成日時：2020年7月12日 6時
