＊ケイト ページ12
彼女と初めて出会ったあの日から、、いや、彼女は一昨日目を覚ましたというのだから語弊があるか。
それからこの廊下を結構利用するようになった。
まあ、今に戻るが、ロザリアちゃんとやっと話せる機会に逃げ出した奴らは、なんてもったいないのだろう。
動き出した彼女は、前よりも綺麗で、意外にも身振り手振りが多く、人が良さそうな笑顔を見せるので意識が高そうという勝手なイメージが覆された。
こんなに見目も良いのだからマジカメ映えするに決まっている。
それにここは教師もよく通る廊下、もしかしたら何か情報を得れるかもしれない。
トレイを連れて来たのも彼女の友達を増やして、言い方は悪いが恩を売っておこうと考えたからだ(動いていると伝えてもオレの嘘だろうと言って信じなかったというのもあるけど)。
怪訝そうにこちらを見てきた気がするけど知らないフリをしてくれたので助かる。
綺麗な顔に見合った濁りのない綺麗な声で名前を呼ばれるのも悪い心地はしない。
彼女と友達になればオレの利益にもなるのだから、彼女の望むことはある程度してあげよう。
そう。"オトモダチ"。これからもいい関係を築くための。
『ｴﾍ､ﾍ…ふふ……あ、コ、コホンｯ！本当に……？』
そう…思っていたのに。
あの静止画の時からの、完璧ではあるが少々硬い微笑み。
それは動いてからも同じで、(人の事は言えないけれど)どこか壁を作られているような感じがしていた。
それなのに、友達、の一言で細められた目に、色付き緩みきった頬、少しニヤついた笑い方。
戸惑ってしまった。
情けない顔をトレイに気付かれないようにするのが精一杯だった。
思えば、初めて目が合った時の驚いた顔も、スマホをキラキラした目で見ていた時も、猫かぶりや飾ったものではなく、彼女の素であろう表情に俺は狼狽えていた。
元々のルートを変えてこの廊下を使うようになったことは。
毎回廊下を通る度、ほんのわずかな時間だが肖像画をぼーっと見ていた日々は。意外にもオレの中で大きかったのだろうか。
そもそもの絵の彼女を気に入ってしまっていたのだから。
美人は3日で飽きるとよく言うし、オレも姉たちがいるからこの学園の他の生徒よりも見慣れているはずだったのに。
いい関係、win-win、使えるものは使う、とか何とか思っていた癖に、動き出した彼女の一仕草にこんなに心を揺すられているなんて。
自分でも笑えてくる。
あぁ…本当に…。
ラッキーアイテム
ダイヤのキャンディ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななし(プロフ) - プリメロンさん» ありがとうございます！そう言ってもらえるとすごく励みになります…！社畜の身なので頻繁に更新することは叶いませんが、これからも息抜きに書いていきたいと思っております (2021年6月8日 17時) (
レス) id: edbe6aadbb (このIDを非表示/違反報告)
プリメロン - ロザリアちゃんが可愛くて大好きです。続きが楽しみです。 (2021年6月8日 13時) (レス) id: b71badc53a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななし | 作成日時：2020年7月12日 6時
