雫が三十二粒 ページ34
Noside
よく晴れた空。太陽が眩しく、街を照らす。
「御早うございまぁすぅ。」
凛が何時ものように挨拶をする。
が、少し様子がおかしい。
それにいち早く気付いたのは、乱歩だった。
何時もなら挨拶をし、自分の席に着く筈が、Aの方へ歩いていく。
一歩、また一歩と、Aに近づく
「Aせぇんぱぁい。」
甘ったるい、気持ちの悪い声。
何時もも、こんな口調だが、こんな甘ったるい声はしない。
何時もは少し可愛げな感じで、聞いていても、そこまで不快には思わない声。
だけど、今は違う。
とても聞いていて不快になるような声。
前にもあった。
この声をしていた時が。
「私ぃ、思ったんですぅ。みぃーんな私の思う通りにぃ動かないならぁ、みなさんがぁ、だーいすきなぁ、貴女を殺せばぁ、思い道理になるかなぁってぇ。」
そう言って凛は包丁を取り出す。
「「敦/敦くん!!!」」
乱歩と太宰が敦を名を呼んだのは同時だった。
凛が包丁をAに振り上げるのと同時に凛は包丁を敦によって落とされ背負い投げをされる。
カランと包丁が落ち、その音を聞いた凛がハッとする。
「え?これは、、、。」
周囲を見ようにも敦に押さえ込まれ、動けない。
「包丁?、、、どうしてこんな物がこんなところに」
「惚けるのもいい加減にしろ!!!」
そう叫んだのは敦だった。
その瞳には怒りがやどっており、敦が叫んだのと同時に凛を押さえ込む力が強くなり、凛の顔が歪む。
「敦、離してやれ。」
そう言ったのは、乱歩だった。
「で、ですが!!!」
「僕を信じろ。」
そう乱歩に言われ、渋々離すが、何時でも戦闘体勢に入れる姿勢をしている。
凛は訳の分からないようにみんなを見る。
みんな、殺気の籠った目を凛に向ける。
「本当にどういう事?」
そう言った凛に太宰が殴ろうとしたが、それよりも早く
ナオミが凛の頬を強く叩いた。
「いい加減にしてください!!貴女はAちゃんを包丁で殺そうとしたのですよ!?しかも理由が自分の醜い欲で!!!ふざけるのもいい加減にしてください!!!」
それを聞いた凛が目を見開き、はっ?と言って固まった。
そして、絶望、悲しみ、苦しみ、恐怖が混ざったような顔をし、
涙を流した。
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狼狐(プロフ) - 必殺!一気読み!!▼狼狐は一気読みを繰り出した▼ ←マジです。1時間で読み終えました(遅)感動し過ぎで泣きました。最初悪女に成り切れない悪女ってどゆこと?って思ってましたがこーゆーこととは・・・・!納得です★あぁ、続きが見てぇ・・・ (2022年2月12日 17時) (レス) id: 563f93d61f (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - 感動のあまり、涙が……泣けました。コレってアニメ化しないんですか?(冗談です)続編が見たいです。あ、でも、コレで終わりってなるのも味的に良いかも……うあ、でも…………見たい!見たいです!!! (2021年7月3日 15時) (レス) id: 3b5cd0d846 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 味付けのりぃさん» そう言って下さり有り難うございます! (2019年8月9日 13時) (レス) id: 4f3f949d42 (このIDを非表示/違反報告)
味付けのりぃ - あああぁぁぁ…まじで涙出たぁぁぁぁ…いい話すぎる(?)この作品を作ってくれてありがとうございます…!こんなん泣くしかねーわ(( (2019年8月9日 1時) (レス) id: cae02b46bd (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 557*ココナさん» この作品を読んで下さり有り難うございました!! (2019年7月29日 13時) (レス) id: 4f3f949d42 (このIDを非表示/違反報告)
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