吉野順平ガチ勢が原作をぶっ壊す話2

Q、ちょっと興奮しましたよね？ A、うるせぇ不可抗力だ ページ40

【吉野順平の出入りを拒む帳】


それは今のボクに取って、そしてなにより順平にとって

最も避けたいことであった


腕の中の順平の意識は既になく、初めは額と頬だけだった肌の模様も

今や片腕の指先にまで進行している

それが全身に回れば、きっと、いや…恐らく100%の確率で…

そう考えるだけで、息が出来なくなるほどに心臓が、鼓動が恐怖で跳ね上がる


｢落ち着けA、お前がパニクったら助かるものも助からなくなるぞ｣

『……この帳を壊すにはそれなりの呪力が必要だ…そんな呪力、もう残ってない…』

｢だったら、今Aが順平にしてやれることは決まってるだろ？｣

『……でも、ボク…毒の手当なんて……、ただ魂の波長を治すだけじゃ…』

｢弱気になるなよ、今順平を救えるのは、お前だけなんだぞ？｣


助けたいんだろ、順平を



パンダさんはそう言った、そうだ、ボクは順平を助けたい

交流会の前にした約束を、ただの死亡フラグにしたくない


ボクは1度深呼吸をすると、そのまま言葉を連ねた


『順平はここで治してく、パンダさんは恵くん達を家入さんのとこに、余裕があるなら連れてきて欲しい』

｢任せとけ、順平のこと頼んだぞ｣


パンダさんがそう言って走り去っていくのを見届けた後

自分のブレザーを脱いでそれを枕代わりに地面に置き、順平をそこに寝かせた

順平は刺されたことによる外部からの毒とは違い体の中に元からあった呪力が

毒へと変わってしまって状態だ

だからまずはそれを抜き取らなければいけない

針などがあれば血液とともに何とか流せるかもしれないが

今手元にあるのは切りつければ切り傷では済まないような大鎌だけだ

残る排出方法の中で、意識がない相手でも行えるものは限られてくる

毒を呪力に戻すことは出来ずとも、元が呪力なら体内の血管や臓器を無視して

その性質を気体や液体へと変化させ、1点に集中させることは可能だ

術式で毒を肺へと流し、肺が毒によりダメになる前に

第三者がそれを吸い上げる

気体となった毒素を吸い上げ、自身はその空気を吸わずに吐き出す

肺に空気が無くなっては酸素不足になるため、直ぐに毒素のない空気を流し込む

人工呼吸の要領でそれを繰り返せばやがて毒素も抜け、あとは術式で体の傷を直せばいい


『…迷ってる時間はない…か』


順平が起きたその時はひっぱたいてもらおう

そんなことを思いながら、ボクは彼の唇に自身の唇を重ねた

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