【アーサー】やさしいおばけとかわいそうなおとこのこ(ほのぼの&切ない(?)) ページ9
(ちびりすよりもちょっと大きくなった時代)
「まーた泣いてるんだ。せっかくの英国紳士が台無しだぞ?」
そう言って俺に頬をすりよせてく、俺より一回り大きな少女はA。
この屋敷に住み着くこどもの幽霊らしい。
この少女と俺が知り合ったのはつい最近。
兄さんから逃げようとして匿わせてもらった屋敷にたまたま彼女がいて、この屋敷の幽霊だとか言い出して…そんなのが始まりだった。
「ああ…こんな泣き虫な男の子が私の国だとはね。でも可愛いからそれでいっか。」
以後、俺の相談相手になっていたりはする。
「紅茶飲む?台所にあるよ。」
「お前が用意するんじゃないのか…」
「だってあたし、物をつかめないもん。」
幽霊の身体は身軽な割には、物がつかめないなど致命的な部分が多いらしい。こうやって、幽霊として見てもらえる人間も少ないだとか。
ふわふわと浮いたり俺の元へ飛んでくる彼女は幽霊になっても幸せそうな限りで何よりだった。
「ねーね。眉毛くんはさ、なんであたしがずっとこのお屋敷にいると思う?」
俺が台所から紅茶を持ってきてカップに注いでいると、椅子に座った彼女が突然そう言い始めた。
眉毛くん、というのは俺のあだ名だしい。
「あたし、誰かにずーっと気付いてほしかったの。」
「気づいてほしかった?」
俺は首をかしげた。確かにこの大きな屋敷は生きてる人間も、死んでる人間も彼女以外いない。無人の館だ。
「あたしは生きている時も病気勝ちでね。姉さんたちはさっさとお嫁にいっちゃって、パパとママは旅行ばっかりで家を空けていたの。使用人さんも誰もあたしのお友達にはなってくれなかった。寂しかったの。」
「A…」
「そのうちあたしは病気であっさりと死んじゃった。二人も姉さんたちも歳で死んじゃって誰もあたしのことを知っているはいなくなってしまったの。いつのまにかあたしは幽霊になっちゃった。私でもこの世への未練がよくわからなかった。」
俺の分のカップを掴む動作をして、にっこりと笑った。
「でも、今ならわかる。私はきっとお友達がほしかったの。大切なお友達がほしかったの。それが多分君なんだね、眉毛くん。」
彼女は冷たいような温かいような透けた手で俺の頬に触れた。
「もう終わりみたい。君もきっとお友達ができるよ。」
彼女の身体が消え始めた。
完全に消える前に俺は屋敷の外へ出た。
帰る途中に髭に話しかけた。髭と一緒に屋敷を見に行った。
屋敷は跡形もなく消えていった。
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ミファ(プロフ) - エリジャさん» ありがとうございます! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 9307a90a97 (このIDを非表示/違反報告)
エリジャ(プロフ) - ミファさん、こんにちは。イベント参加ありがとうございます!!読ませていただきましたが…ぶ、文才が凄すぎる………すごく上手いですね!!これからも頑張ってください!応援しています!! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
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