悟くんの言うとおり2【五条悟】

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「先日、悟くんに主人と使用人という関係を辞めたいと言ったら、いつもは駄目だと言っていた彼はいいよと言ってくれたんです」



それで漸く悟くんに「好き」だと伝えられた。

小さい頃からの関係に居心地の良さを感じつつも、抱いてはいけない感情だと気持ちに蓋をし続けていた。悟くんが好きだと言ってくれた。自分に嘘をついていた私に「好きなようにしろ」って言ってくれたの。



「私は悟くんには、悟くんが好きになった人と幸せになってもらいたいです」



もしかしたら、それは私じゃないかもしれない。

恋人という関係になったけれど、それが一生続いて結婚するとも限らない。途中で別れてそれぞれの道を歩む可能性だってあるわけで。


それでも私は初めて好きになった、初恋の悟くんには、悟くんが心から好きになった人とは幸せになってもらいたいって思っている。



「もしや悟に好きな娘がいるとでもいうのか？」



ハッとした。
思わずたくさん喋ってしまったが、自分で墓穴を掘ってしまってはいないだろうか。目を見開き、悟くんに好きな人がいるのか？と驚いている彼のお父様。


どうしよう、悟くんの好きな人ってだれだ？(混乱中)



「高専内にでもいるのか？A、お前ならわかるだろう？長年、アイツのそばにいたのだから」



悟くんのお父様は、高専に今在学中の生徒の名前を知っているのだろうか。そもそも生徒数の少ない上に女子率もその程度。もしも生徒の名前を知っていたら、絞り込まれる。


あ、待って。悟くんの好きな人って、



「僕の好きな人ならそこにいるじゃないですか」



人って混乱するとここまで馬鹿になれるのか。
自分が悟くんの恋人であることが頭からすっぽりと抜けていた。


襖が開いて顔を出した白髪の彼は、お父様に「悟！一体どういうことだ」と怒鳴られている。悟くんは私の目の前に来ると、じっと見下ろして、腕を取った。



「この人、僕の好きな人」

「は？何を言っている。Aはお前の使用人だろう」

「今は違いますよ。Aは正真正銘、僕の恋人です」



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