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すっかりと意気投合してしまった。
目の前に座る彼女は嬉しそうに頬を緩めた。
「今日付き合わせた礼だァ」
「えっ、……あ!」
偶然雑貨屋で見かけたものを購入しておいた。
それを渡せば、彼女は目を輝かせる。目の前にぶら下げて「わぁーっ」と眺めている。先日、匡近と一緒に飯に行った際、つけていたマスコットと似たようなキーホルダー。
似ているし、喜ぶのかもわからなかったがそれにしていて良かったと安堵する。今日一日付き合わせた礼にはちょうど良かったようだ。
「嬉しいです」
目を細めて笑う姿、昔どこかで見たことがあるような気がした。出会ったのは最近だし、そんなことはあり得ない。早速鞄につけ始める水城に、「俺といて楽しいかィ」と聞いてみる。
こんな見目の自分が面白いと思ったことが一度もない。それなのに、水城は楽しそうに笑顔を絶やさないでいた。
「楽しいですよ」
「……そうかィ」
すぐに持ってきている鞄に、やったそれをつけ始めた彼女は「あぁ、やっぱりいい!」と感激している。それを頬杖をついて眺める。
カフェを後にして、帰り道家まで送っていく中、小さな子供が迷子になっているのを見かける。その子に近づいて、一緒に親を探しながら交番の方へと三人歩いて行っていると母親らしい人物が走ってやってきた。
「ありがとう、お兄ちゃんお姉ちゃん」
「本当にありがとうございます…!」
母ちゃんの手離すんじゃねぇぞと頭を撫でてやると、満面の笑みを浮かべて頷いた。立ち上がり、未だに手を振るう子供に、隣の水城も振り返していた。
「(………そうか、)」
既視感を感じていたのは、餓鬼の頃に会った少女の笑顔とさっきの水城の笑顔が重なったからだったのか。親子が見えなくなると、水城は俺をみて「帰りましょう」と言う。
「あァ、そうだなァ」
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青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時